エンタメ
Posted on 2011年11月22日 11:54

有名男女13人「人生引き際」の美学 (1) 元横綱・曙インタビュー 00年九州場所「両ヒザ満身創痍で優勝」直後に休場→引退 「もう優勝争いはできないと気持ちが萎えた」

2011年11月22日 11:54

誰にでも人生の黄昏時が巡ってくる。その時に、問われるのが「美学」に違いない。そこには百人百様の生き様がかいま見えてくる。各界有名人たちのそれぞれの「引き際」のありように迫った。
「8勝はできても、優勝はできない」――名文句を残して現役を引退した曙。「日本人以上に日本人らしい」と言われた初の外国人横綱は満身創痍だったが、最後まで気丈だった。
「現役時代の後半、両膝をケガして満身創痍でした。しかし、ケガをしているのは俺だけじゃないでしょ。ほとんどの力士がケガをかばってやっている。結局、続けられるかどうかは本人の気持ちしだい。モチベーションが全てなんですね」
 都内の自宅で会った曙は流暢な日本語でそう語りだした。
「花の六三組」と言われ、同期入門した力士に貴乃花、若乃花、魁皇、和歌乃山、力櫻(プロレスラー・力皇猛)ら錚々たる顔ぶれがそろっている。
 貴乃花とは曙貴時代を築き、名勝負を繰り広げた。対戦成績も21勝21敗。しかし、先に横綱に上り詰めたのは曙だった。
「気づいたら、横綱だった。若貴兄弟には絶対、負けたくない。そんな気持ちから、がむしゃらに稽古したんです」
 サラブレッドの貴乃花に対するライバル意識は凄まじいばかりだ。その気持ちがあったからこそ、「ハワイの黒船」小錦ですらつかみ取ることができなかった栄冠を、入門からわずか5年で手にしたのである。
 しかし、我が世の春が長く続くわけではない。力士人生のドラマに光と影があるなら、影の部分も長く続いた。
 当時、世間は「若貴ブーム」に沸いた。テレビのスポーツ番組は曙に「若貴ブーム」に対するヒール役としてのレッテルを貼った。
「横綱になったら、10回は優勝したい。それは力士としての目標でした。ところが、優勝9回を数えてから3年半も優勝から遠ざかっていました。9回目の優勝を飾ったあとに結婚したのですが、子供を抱いて賜杯を抱きたいというのが夢だったので、優勝できなかった時代はつらかった。しかも、当時、世間ではアゲマン、サゲマンという言葉がはやっていたので、女房との絡みでいろいろ噂されることが腹立たしかった」
 相撲界は貴乃花全盛時代を迎えていただけに、結果を出せない不本意な土俵に我慢ならなかったに違いない。しかし、それでも黙々と土俵に上がり続け、決して、ケガのせいにしなかった。
「プロですからね。思ったような相撲が取れないとストレスがたまる。昨日までできたことが今日はできない。それがいちばん悔しかった。若かった頃は自分が頭の中で描いたとおりの相撲が取れたのに、それができないんですからね」
 相撲の稽古は3年先の稽古をしろと言われる。しかし、崩れるのは簡単で、1日休むと5日分崩れると言われる。
 曙は稽古を怠らなかった。それが実ったのが、10回目の優勝を飾った00年7月の名古屋場所だ。これまでのウップンを晴らすかのような13連勝で、3年ぶりの天皇杯を手にした。
 まさに執念で名実ともに名横綱の仲間入りを果たしたのだ。
 そして、同年の九州場所でも14勝で11回目の優勝。
 その年、曙は常に優勝争いを繰り広げ、全盛時代が戻ったかに見えた。
 だが、年が明けて01 年春場所に突然の引退に踏み切るのだ。
「もう優勝争いはできない‥‥そう思った時に引退を決めました」
矢尽き、刀が折れての引退劇に好角家は涙した。まさしく、日本人以上に日本人らしい外国人横綱の引退劇だった。

全文を読む
カテゴリー:
タグ:
関連記事
SPECIAL
  • アサ芸チョイス

  • アサ芸チョイス
    スポーツ
    2024年10月29日 05:59

    二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里)と赤ヘル戦士。大相撲とプロ野球を横断するこの「異色の組み合わせ」に沸き立つのも仕方がなかろう。それは広島カープ前監督の佐々岡真司氏が10月27日に投稿した、インスタグラムのショート動画だった。シンガーソングラ...

    記事全文を読む→
    スポーツ
    2026年03月27日 13:00

    プロ野球開幕を前に、セ・パ12球団の順位予想が出揃っているが、際立つのは低迷が続く中日ドラゴンズへの高評価だ。OBの岩瀬仁紀氏は早くも昨年末の時点で2位に推し、「実は優勝にするか迷ったくらい」と語る。元監督の森繁和氏にいたっては、開幕前日に...

    記事全文を読む→
    芸能
    2026年03月28日 09:00

    今後は大好きな「タレント業」に全振りすることになるのだろうか。スピードスケート女子金メダリストの髙木菜那が、4月から情報バラエティー番組「ラヴィット!」(TBS系)に曜日レギュラー出演する。開始当初の「ラヴィット!」は評判がすこぶる悪かった...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    タグ:
    注目キーワード

    人気記事

    1. 1
    2. 2
    3. 3
    4. 4
    5. 5
    6. 6
    7. 7
    8. 8
    9. 9
    10. 10
    最新号 / アサヒ芸能関連リンク
    アサヒ芸能カバー画像
    週刊アサヒ芸能
    2026/3/31発売
    ■550円(税込)
    アーカイブ
    アサ芸プラス twitterへリンク