事件

大阪に続いて神戸でも…心神喪失で無罪判決「哲学的ゾンビ事件」とは

「大阪・吹田市の交番を襲撃した犯人に対し、大阪高裁は心神喪失を認めて無罪判決を下しました。そこで話題になっているのが、神戸市北区の住宅街で2017年に起きた、親族や近隣住民の計3人を殺害し、2人に重傷を負わせた事件です」

 こう話すのは、在阪司法担当記者である。

 本サイトはこれまで2回にわたり、2019年に起きた吹田市の交番襲撃事件の裁判について書いてきた(3月23日、4月6日公開記事)。神戸市の事件は、それに重なるものとして取り沙汰されているというわけである。司法担当記者が続ける。

「殺人や殺人未遂などの罪に問われた無職の竹島叶実被告に対し、裁判員裁判の神戸地裁は21年11月4日、無罪(求刑無期懲役)を言い渡しました」

 裁判長は犯行時の被告について「妄想などの精神症状の圧倒的影響下にあった疑いを払拭できない」と指摘して「心神喪失状態にあったとの合理的疑いが残る」と述べている。これは刑事責任能力がないという意味であり、こうした場合は無罪になる。心神喪失よりも軽いのが心神耗弱であり、この場合は刑を軽くすると定められている。

「被告が『哲学的ゾンビを殺せば知人女性と結婚できる』などという妄想を抱いていたことは検察と弁護側双方が認めており、『哲学的ゾンビ事件』とも呼ばれてきました。私には難解すぎて、理解ができません」(前出・司法担当記者)

 裁判の被告人質問で竹島被告は、

「哲学的ゾンビを倒しながら神社に行けば、結婚できると思った」

 と証言している。普段からこんな言動を繰り返していれば、周囲の者も妙だと感じたはずだ。ところが、竹島被告が過去にこのような言動をとったことはなかったという。

 竹島被告は高校卒業後に、5年制の高専に進学。卒業前に中退して神戸市内の電子専門学校へ通い、デジタル技術検定試験に合格し、優秀賞を貰っている。その後、就職した会社と合わずに退社し、犯行時は無職になっていた。

 弁護側は妄想に支配されていたとして、心神喪失を主張。一方の検察側は、善悪を判断する能力は残っていたとして、心神耗弱で死刑の求刑をワンランク下げて、無期懲役を求刑した。結果は無罪。検察側が控訴中で、竹島被告は措置入院している。高裁の日程はまだ判明していない。

「なんらかの理由で突然、精神的に異常をきたす可能性がある、というのは驚きました。それがどんな理由なのか解明をすべきだと思うんです。このままでは『突然、心神喪失になる』というケースが続くこともあり得るわけですから、一般社会でそんなことが続発したら怖すぎます」(前出・司法担当記者)

 さて、待たれる二審であるが、

「判決は何でもいいから、とにかくあの男を社会に出さないでほしい」

 近隣住人たちは、それだけを願っているのだった。

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