札幌ススキノにあるホテルの一室で起きた、首切断事件。3容疑者の逮捕から日を追うにつれ、その動機をはじめとする猟奇事件の闇が、徐々に明らかになってきた。
まずは動機。これまでに浮上してきている事実関係は以下の通りだ。
職業不詳の田村瑠奈容疑者は被害者男性から「不同意性交」を含む暴行を受けており、被害者男性は瑠奈容疑者との交遊の模様を撮影した動画まで所持していた。そこで、瑠奈容疑者の父親で精神科医の田村修容疑者は、被害者男性に会って娘との絶縁を迫った。
ところが被害者男性は修容疑者の求めに応じず、瑠奈容疑者との交遊を続けようとした。業を煮やした修容疑者は、妻でパート従業員の田村浩子容疑者とも謀り、瑠奈容疑者を実行役とする緻密な殺害計画を練って実行に移した——。
また、この殺害計画を実行に移す直前、修容疑者は瑠奈容疑者とともに札幌市内の量販店を訪れ、「ノコギリ」と「スーツケース」を事前に購入、準備していた。
だが今回の猟奇事件には、さらなるウラがあった。地元メディアの報道部記者は、
「捜査当局は『修容疑者らは当初、完全犯罪を計画していた』とニラんでいます」
こう明かした上で、次のように指摘したのである。
「具体的には、修容疑者は指紋が残らぬよう娘に手袋をはめさせ、浴室で被害者男性の体をノコギリでバラバラに切断させた後、シャワーの水で血抜きしたバラバラ遺体をスーツケースに詰め込み、全て持ち去るという計画を立てていた。この計画であれば、被害者男性の身元の特定は困難となり、いわゆる完全犯罪が成立すると考えたわけです」
しかし、実際には頭部だけが持ち去られた。完全犯罪を目論む殺害計画はなぜ崩れたのか。
「瑠奈容疑者は手順通り、浴室にいた被害者男性をナイフで刺殺した後、浴槽内で遺体の首をノコギリで切断し始めた。ところが、なんとか首を切断し終えたところで、精神的にも体力的にももたなくなった。そこで急遽、計画は変更され、頭部だけを持ち去ることになった。捜査当局の見立ては、こんなところでしょう」(前出・報道部記者)
いずれにせよ、まさに常軌を逸した殺人事件と言うほかはない。