社会

福島・被災者が悲鳴!住宅再建が進まない本当の理由

 東日本大震災から3年8カ月が経過しようとしている。しかし、依然として仮設住宅からの本格的な復興は進んでいない。そうした中、新たな問題も浮上している。

 東京電力・福島第一原子力発電所から直線距離で約32キロ、福島県南相馬市鹿島地区には、原発事故の影響で地元に戻ることのできない被災者が2000世帯、約3800人が同地域に点在している仮設住宅での生活を余儀なくされている。

 同地域の仮設商店街の一角にある「絆診療所」は、震災前まで小高病院で病院長を務めていた遠藤清次さん(57)が、避難してきた人たちの健康を支えるために開いた仮設の医療施設だ。小高病院もまた、原発事故の影響で一時立ち入りができなくなり、現在は閉鎖されたまま。その理由は、十分な医療設備を収容できる土地の工面ができないからだという。遠藤医師が言う。

「この近くにきちんとした診療所を立ち上げて地域医療をやっていきたいが、移転したくても土地がなかなか見つからない」

 被災者にとって新たな土地の取得は大きな負担だ。南相馬市の公示価格をもとに平均的な地価を算出すると、震災直後に下落した地価はその後、上昇の一途。13年は前年比で20%上がり、14年もすでに10%ほどの値上がりをしている。

 こうした南相馬市の住宅価格の高騰により、街づくりは遅々として進まないばかりか、生活インフラとなる地域の医療体制は置き去りになっているのだ。

 前出・遠藤医師が、長期に及ぶ仮設住宅生活の弊害を訴える。

「仮設住宅に住んでいる患者さんの共通の悩みは、仮設に長期間住むことが、健康問題にも影響を与えることなんです。ましてや、仮設に住むお年寄りの人たちは、最初、『仮設で死にたくない』と言っていたが、そのうち『仮設で死ぬんだぁ。しょうがないな』と生きる希望すら失っている。被災者の健康問題を含め、復興のためには、まずは仮設住宅から早くきちんとした住宅に移れることが先決」

 不足しているのは土地だけではなく、人手不足も深刻だ。仮設住宅に夫婦で暮らす60代の男性Aさんは、この春に住宅再建を目指して住宅メーカーに相談しに行ったが、1年待ちになると告げられた。

「オリンピックの影響で人手不足だって話はよく聞く。震災前から人口が減っていって大工が少なくなったところに、今度はオリンピックで東京に人が流れる。しばらくは仮設暮らしを続けることにした」

 人手不足によって建設費用も高騰しており、以前と同じ規模の家屋を建てるには予算が足りない。規模を小さくするか避難生活を延長するか、悩んだ末に様子を見ることにしたという。

 復興庁が発表した「復興の現状」によると、14年7月現在、東日本大震災の影響によって、現在も避難生活を余儀なくされているのは24万7233人。そのうち、公営住宅などに入居できたのは、2万7383人(約1万戸)。今も約10万人が仮設住宅から出られずにいるが、計画では15年度末までに、岩手県と宮城県で災害公営住宅が約7~8割、住宅用の宅地整備が約5割程度、建設・整備される予定。

 しかし、福島県に至っては、原発事故の影響もあり、住宅再建計画も十分に立てられないのが現状だ。安倍政権は昨年10月以降、用地買収による特例措置を掲げて、被災自治体の住宅再建計画を後押ししているが、まったく遅々として進んでいないのだ。

「死ぬまでに家を建てられればいいけどな」(Aさん)

 政府は被災者をいつまで痛めつけるのか。

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