社会

池袋母子殺傷「暴走事故」で遺族に殺害予告!誹謗中傷犯はなぜ「反省なき上級国民」をかばうのか

 東京・池袋で2019年4月に起きた乗用車の暴走事故で、妻子を亡くした松永拓也さんを名指しし、「近いうちに殺す」と犯罪を予告する電話が警視庁にあったと、松永さん本人のSNSなどで明らかになった。

 警視庁に脅迫電話がかかってきたのは10月28日昼ごろ。男の声で「年のいった受刑者に金を払わせるのはおかしい。近いうちに松永を殺す」という内容だったという。

 Yahoo!にも悪質な誹謗中傷が書き込まれており、10月27日に東京地裁で同事故の犠牲者遺族4人に対し、飯塚幸三受刑者が加入していた保険会社に計約1億4000万円を支払うよう命じた判決が出てから、松永さんへの誹謗中傷が激化している。

 そもそも卑劣な誹謗中傷犯、殺害予告犯が「非力な老人扱い」する飯塚受刑者は本当に弱者なのか。

 飯塚受刑者と遺族の松永さんとの間に、金銭の授受はない。これもおかしな話で、一般的には死亡事故を起こした加害者やその家族は、加入している保険会社が支払う保険金だけでは贖罪が足りないと、私財をなげうって慰謝料に充てる。そうした痛みと犠牲を伴う言動が、裁判官に「加害者は反省もしており、贖罪の気持ちがある」と評価されて示談になったり、裁判になった際には判決に加味される。

 ところが松永さんが、亡くなった愛娘の遺体を見るのを警察官から止められたほど痛ましい事故から4年経っても、飯塚受刑者は遺族に謝罪らしい謝罪をしておらず、東京地裁の裁判官が飯塚受刑者の反省なき不遜な態度に、多額の賠償金支払いを命じたにすぎない。

 飯塚受刑者の経歴をひも解くと、東京大学工学部で工学博士号を得て、旧通産省工業技術院に技官職として入職。在任中は国際研究機関のトップまで務め、退官後は某重機メーカーに天下り。副社長や常務取締役として、役員報酬も受け取っていた。

 国家公務員は基礎年金に加え、共済年金と職域年金という、いわゆる「3階建ての年金」を受け取る(今の国家公務員には廃止)。さらに天下りした重機メーカーからの役員報酬と、天下り企業で働く社員たちの給料から天引きされ続ける厚生年金、任意加入の確定拠出年金、その後、天下りした学術団体の名誉職としての報酬もある。

 遺族、そしてなおも事故後遺症に苦しむ他の被害者の贖罪に全私財をなげうったとしても、優雅に暮らせるだけの、推定月額80万円前後の高額年金を受け取っている、と思われる。

 飯塚受刑者が上級国民と揶揄される理由はこれだけではないと経済産業省OBが証言する。

「事故当時、安倍晋三元総理の取り巻きは旧通産省、経済産業省の人脈で固められていました。飯塚受刑者は技官時代、国際的な信用が厚く、安倍政権で秘書官や補佐官、内閣官房参与を歴任した今井尚哉氏の親族の直属の上司、恩人にあたります。池袋の事故で飯塚受刑者が逮捕されなかったのも、安倍内閣への忖度ではないかと、当時の事情を知る経産省OBの中には警視庁と安倍内閣への不信感と不快感をあらわにする人もいました」

 今井氏の伯父は、城山三郎の小説「官僚たちの夏」で主人公と対立するラスボス官僚のモデルとして知られ、官僚トップの事務次官にまで上り詰めた人物。別の叔父は、経産省が監督する原子力事業のボスだ。経産省のサラブレッドと言われる今井氏と安倍元総理は、縁戚関係にある。

「事故原因はプリウスの不具合だったと主張する飯塚受刑者の言動は、民間企業を見下していた技官時代と変わりありません。これまでも松永さんを誹謗中傷して逮捕・起訴された人物がいましたが、彼らのバックグラウンドを、警視庁は何も発表していない。仮に卑劣な誹謗中傷犯や殺人予告犯が通産省や現経産省幹部のドラ息子、あるいは安倍元総理を狂信的に支持する日本会議、旧統一教会の関係者だとしたら、事故の遺族は大切な家族を奪われた上に、巨悪と対峙していることになります」(前出・経産省OB)

 今回の判決で、国民は「上級国民不逮捕特権」への怒りを思い出した。飯塚受刑者は不逮捕の上に税金を使って24時間警備で守られていたのに、松永さんを攻撃する誹謗中傷犯の逮捕もできないなら、警視庁の信用性は地に堕ちる。

(那須優子)

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