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第1作で広能と兄弟分の契りを交わすのが、梅宮辰夫が演じた若杉寛である。獄中で知り合った広能は当時、カタギだった。男と見込んだ若杉は自分に任せろと言う。
〈盃がないけん、これで腕切って血ィすすらんかい〉
腕を交差させ、隠し持っていたカミソリで傷を入れ、お互いの血をすすり合う。従来の任侠映画では描かれないリアルなシーンだった。
ちなみに梅宮は、文太と酒を飲む機会も多く、本作の3年前には銀座で運命的な一夜を共にしている。
「俺と文太さんが銀座のクラブに行けばホステスがキャーキャーになるんだけど、1人だけ知らんぷりしている女がいた。いや、俺と文太さんが役者であることさえ知らなかったんだ」
それがクラウディア夫人だった。文太がキューピッドとなり、梅宮が放蕩生活をやめる契機となった。
やがて「仁義なき戦い」は、シリーズを重ねるごとに小林旭らが参加し、オールスター映画に発展してゆく。第4作「頂上作戦」(74年、東映)では、旭が演じた武田明が、梅宮扮する神戸・明石組の岩井信一に言い放つ。
〈広島極道はイモかもしれんが、旅の風下に立ったことはいっぺんもないんで〉
これに岩井も切り返す。
〈おんどれらも吐いたツバ飲まんとけよ〉
ハードな場面を撮りながら、終われば梅宮は文太や旭と飲む機会が多かったという。
「ああ見えて文太さんは酔ってカラオケを歌いだすと、いつまでもマイクを離さないタイプ。こっちが歌ってるのに『おい兄弟、マイクくれよ~』って、しつこく絡むんだ(笑)」
さらに小林旭も、歌手として絶大な実績がありながら「あと3曲だけ、歌わせてくれ」と割って入り、ともに文太と双璧を成す酒グセの持ち主だったという。
梅宮は00年に公開された「新・仁義なき戦い。」というリメイク版を見て、あまりにもオリジナルとかけ離れていたことに腹を立てた。そして文太にそのことを伝えた。
「文太さんも見ていて『お前もそう思うか!』って言うんだよ。俺が、監督や役者の事務所にどなり込もうかと思ったと伝えたら、冗談ぽく『2人で行けばよかったな』と笑っていたよ」
そんな盟友も今はそばにいない‥‥。
同じく文太と親しい間柄を築いたのが「まむしの兄弟」(71~75年、東映)のシリーズで名コンビを組んだ川地民夫である。
「具合が悪いとは聞いていたけど、まさか、入院していたとは知らなかった。ショックは大きいね」
川地は「仁義なき戦い」の第1作で、山守組から寝返り、広能を罠にハメようとする神原精一役に扮した。広能が指を詰める際、飛んでいった小指をニワトリ小屋で拾うというコミカルなシーンを演じている。
「あの場面は俺と文ちゃんがやっていた『まむしの兄弟』の延長線上だよ。海外でも『スケアクロウ』とか『ブルース・ブラザース』が下敷きにしたくらいだから」
川地は文太との全8作の人気シリーズに、それだけプライドを持っている。
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