エンタメ
Posted on 2025年06月01日 17:54

映画史家・伊藤彰彦氏「『仁義なき戦い』は抑圧される者の言葉がサラリーマンに響いた」

2025年06月01日 17:54

 映画「仁義なき戦い」、そしてそのセリフはなぜ人々の心をこうも打つのか。何よりも際立つのはその生々しさだと、映画史家の伊藤彰彦氏は言う。

「1973年、笠原和夫が美能幸三氏原作の、まだ湯気も立っているような広島の複雑な抗争を脚本するにあたって、みずからの足を使い、現役の(ヤクザの)人、引退した人、あるいは被害者、ヤクザが来店する店のおばちゃんにまで取材し、生きた広島弁を捉えた。それにひと味加えて躍動感あるセリフにしたのです。広島弁のえげつなさ、人情味ある面白さは、後に広島弁のシェイクスピアとまで言われました」

 もちろん、演者たちもそれに応えた。

「1人のヒーローというのはいない、人間の生々しい行動原理で生きる人物を、菅原文太、梅宮辰夫、東映に殴り込みをかけてきた小林旭、それに成田三樹夫たちが、噛みつくような、食うか食われるかのような演技で魅せたのです。また、モデルとなったヤクザたち、抑圧された町、そういった押さえつけられた、踏みつけられた者の言葉も大きいのでしょう。第1作で広能が坂井に言う、『狙われるもんより、狙うほうが強いんじゃ』というセリフや、完結編で宍戸錠演じる大友の『牛の糞にも段々があるんで~』などがそう。これらの言葉はヤクザでなくとも、抑圧され踏みつけられている側の人間、つまりは公開当時のサラリーマンの心にもドンと響いたのです。第4作で梅宮辰夫演じる岩井の『おどれも吐いた唾飲まんとけよ』などは、さすがにサラリーマンの社会では言いたいけど言えない言葉ですよね」

 伊藤氏によれば、笠原和夫と美能幸三は呉で同じ海軍出身の先輩後輩だったともいう。この意外なつながりも功を奏したのだ。

全文を読む
カテゴリー:
タグ:
関連記事
SPECIAL
  • アサ芸チョイス

  • アサ芸チョイス
    社会
    2026年03月01日 08:15

    毎晩、家族でテレビを囲む。その画面の向こうで、こちらも「見られている」かもしれない。そんな話が近年、じわじわと広がっている。「盗聴装置が仕込まれている」「スパイ機器だ」……。SNSに流れる過激な言葉をそのまま受け取る必要はない。だが「スマー...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    社会
    2026年03月01日 08:30

    3月16日の確定申告期限が刻一刻と迫る中、国税当局が不穏な動きを見せている。ターゲットは、SNSやマッチングアプリを主戦場に男性らから多額の「手当」を吸い上げるパパ活女子、そして華やかな生活を売りにするインフルエンサーたちだ。かつては「男女...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    エンタメ
    2026年03月03日 07:00

    小学館の漫画アプリ「マンガワン」をめぐる問題が、波紋を広げている。発端は、過去に児童買春・ポルノ禁止法違反で罰金刑を受けていた漫画家が、別名義で新連載を開始していたことだ。編集部は起用判断の不備を認め、当該作品の配信停止と単行本の出荷停止を...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    タグ:
    注目キーワード

    人気記事

    1. 1
    2. 2
    3. 3
    4. 4
    5. 5
    6. 6
    7. 7
    8. 8
    9. 9
    10. 10
    最新号 / アサヒ芸能関連リンク
    アサヒ芸能カバー画像
    週刊アサヒ芸能
    2026/2/24発売
    ■650円(税込)
    アーカイブ
    アサ芸プラス twitterへリンク