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叡王戦でまさかの連敗でも…藤井聡太が八冠にこだわる必要がない「ある事情」

 藤井聡太叡王(竜王・名人・王位・王座・棋王・王将・棋聖を合わせて八冠)に伊藤匠七段が挑戦している、第9期叡王戦五番勝負。5月2日の第3局では、藤井叡王が2020年7月16日に史上最年少で棋聖タイトルを獲得して以降、初となるタイトル戦連敗を喫し、カド番に追い込まれた。

 叡王戦と同時進行で行われている名人戦でも第1局、第2局と挑戦者の豊島将之九段に押される展開が続き、一部では藤井八冠の不調説まで囁かれている。

 だが、1995年に史上初の七冠制覇を達成した羽生善治・日本将棋連盟会長でも、七冠在位期間は167日。羽生会長は七冠陥落当時、

「今後、七冠を達成できる人は出てこないでしょう」

 と語っていた。その理由として、他の棋士のレベルが高くなり、タイトル独占はありえないこと、さらに七冠タイトル保持に伴うタイトな対局スケジュールに、

「体力がもたない」

 当時25歳だった羽生会長より4歳下、史上最年少の21歳2カ月で八冠の偉業を達成した藤井八冠は、まさに若さと体力で羽生会長が持つ七冠在位期間記録を今年3月の棋王戦で更新した。が、タイトル戦を防衛しても、その後のタイトル戦開催予定地でのファンミーティングで地方行脚に回らねばならないし、その合間に東京と大阪の将棋会館の建て替えに伴う「クラウドファンドイベント」に駆り出される。藤井八冠の多忙ぶりは、1995年当時の羽生会長とは比較にならない。

 そこで藤井八冠の体力に配慮してくれ、などと無粋なことを書く気はない。ファンと地方経済は藤井八冠の来訪を待っているし、むしろ叡王戦で伊藤七段がタイトルを奪取し、小学生時代からのライバルがしのぎを削る「漫画超え」「アニメ超え」の熱い戦いを、将棋ファンは待っている。

 というのも、叡王戦は2020年に「ニコニコ動画」のドワンゴが主催から降板。その後は藤井八冠が対局の合間に食べたおやつ「クマちゃん」ケーキがバズった不二家が日本将棋連盟との共同主催者となり、中部電力やアパホテルなどが協賛者となって、細々と続いている。メディア媒体が主催していない唯一のタイトル戦で、注目度が今ひとつなのだ。

 ここで主催者として手を挙げてくれた不二家に恩を返す意味でも、過去に藤井少年を泣かせた因縁の相手、伊藤七段がタイトルを奪取する激動の対局になってくれないと、若い世代が視聴するネットメディアの将棋中継に、暗雲が垂れ込めてしまう。

 持ち時間9時間の2日制七番勝負という、歴史ある名人戦と、持ち時間4時間の1日制五番勝負で最も歴史が浅い叡王戦では、藤井八冠といえど、ペース配分の調子が狂うのは当然。負けず嫌いの藤井八冠が叡王戦に手を抜くなどということはありえないが、藤井八冠の持ち味は、持ち時間が長いタイトル戦で最後まで集中力が切れない「AI超え将棋」にある。名人戦のタイトル防衛のために、名人戦のペース配分で研究をしているのは当然といえるだろう。

 まして伊藤七段の持ち味は序盤からの峻烈な攻めにあり、持ち時間4時間の短期決戦は伊藤七段が有利。5月31日開催予定の第4局で伊藤七段がタイトル奪取するもよし、藤井八冠が一矢報いて、6月に甲府市で開催予定の第5局までもつれてもよし。戦況は面白くなってきた。

(那須優子)

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