社会

田母神政経塾 ー解散・総選挙は総理に追い風 党内で対抗する勢力は不在にー

20150122v

 あけましておめでとうございます。この正月、私は都内の方々への年賀状を欠礼させていただきました。東京12区と比例で重複立候補したため、都内には年賀状を出せなかったのです。みなさまにとってすばらしい年になりますよう、この場を借りてお祈りいたします。

 さて、大義なき選挙と言われた昨年の総選挙は、安倍晋三総理が党内基盤を強化するための選挙でした。

 かつて安倍総理の大叔父である佐藤栄作総理は「内閣改造をするほど総理の権力は弱まり、解散をするほど強まる」と述べました。改造をすると議員が群がるため対応が難しくなりますが、解散をすると公認を得たい議員は下手に出ざるをえません。

「解散・総選挙で勝利をし、総裁に再選されると権力基盤が上がる」と、8年もの長期政権を担った人物は言ったわけです。

 その後、現在の小選挙区制になってから「総理の権力の最大の源泉は解散権と人事権」と言われるようになり、解散権を持つ総理の権力基盤はますます強まっています。

 野党の選挙準備が整わないうちの解散・総選挙なら自民党大勝は目に見えており、安倍総理の権力基盤は強固となり、総理再選により、悲願である憲法改正や国防軍構想などで、強いリーダーシップが発揮できるようになります。

 3年前、自民党が政権を奪回した際、安倍総理は石破茂・内閣府特命担当大臣と決選投票の末、やっとのことで総理の椅子に座りましたが、今や安倍総理に対抗する人物など、自民党には見当たらなくなりました。

 また、1年半後の参院選での「衆議院の同時解散をやるぞ」という公明党への脅しの意味もあったと思います。衆参ダブル選挙となれば選挙への関心が高まり、結果的に投票率が上がります。浮動票が期待できない公明党には圧倒的に不利となります。

 党内基盤の強化と公明党への脅し、これが解散の目的だったのでしょう。

 結果、安倍総理の大勝利に終わりました。

 衆院選後に誕生した第3次安倍内閣では、前内閣の18人の閣僚のうち、防衛大臣だけが新たな任命となりました。政治資金問題が国会で問題視された江渡聡徳防衛大臣が留任を固辞しました。このまま留任しては安倍内閣の目標である憲法改正や国防軍構想、その他に突き進むのが難しくなると安倍総理は判断したのでしょう。

 新たな防衛大臣に任命されたのは、中谷元・元防衛庁長官でした。彼はリベラルな面もありますが、陸上自衛隊出身ですので自衛官の話を聞く耳を持っています。

 安倍総理と私の考え方は近い部分も多いですが、反対なのが「女性の登用」です。女性の社会進出は尊重するものの、これは晩婚の源となり、少子化をますます加速させます。

 少子化が進むと外国人の移民に頼らざるをえなくなるなどデメリットが多いのです。伝統的な「男女の役割分担」も尊重されなくてはなりません。

 特に、男女を対立的に捉える現状の男女共同参画事業は見直さねばならないと感じます。

 女性が働く社会を目指す、靖国参拝をしない。私の知る安倍総理ではない面が見受けられるのは、これらが集団的自衛権容認、憲法改正などの公明党との取り引き条件だからかもしれません。

 日本が「真からよい国」になるには、現状の自公連立政権を打倒せねばなりません。そのために衆院選を戦いましたが、次の選挙では、公明党の候補者が立つ全選挙区に、次世代の党が全て候補者を立てる。それぐらいの準備が必要なのではないでしょうか。

◆プロフィール 田母神俊雄(たもがみ・としお) 1948年生まれ。第6航空総隊司令官、統合幕僚学校長を経て第29代航空幕僚長に就任。08年10月、自身の論文にて政府見解と異なる主張をしたことで職を解かれる。08年11月定年退官。

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