そんな白鵬を変心させたのが、「世界相撲グランドスラム構想」だ。
「先の会見で発表したように、アマチュア相撲の世界大会を実施する計画です。国際相撲連盟と連携して男女ごとに階級別で世界一を競うトーナメント。あくまでもまだ計画段階ですが、最終的にはモンゴル相撲やセネガル相撲など世界150カ国にいる相撲チャンピオンたちを競わせる興行を打つビジョンまであるといいます」(スポーツ紙デスク)
世界進出の成功は「先人たち」も示している。
「元前頭の大砂嵐(33)が考案した『コンバット相撲』は米国でも人気格闘技の1つ。24年4月にニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンで開催された大会では約5000枚のチケットが完売した盛況ぶりでした。元大関の小錦(61)も米国を中心に相撲ショーのツアーを主催している。こちらは『花相撲』ですが、会場が満員御礼になることも少なくない。幕下以下の元力士たちが、セカンドキャリアに移行するまでの空白期間を生かしてうまく儲けているようです」(スポーツ紙デスク)
そして、白鵬には願ってもない援軍が登場した。
「宮城野部屋の後援会名誉会長も務めていた、トヨタ自動車の豊田章男会長(69)がスポンサーに名乗り出ている。しかも、豊田会長はアマチュア相撲界を統括する『日本相撲連盟』の次期会長就任が決まった。白鵬に大きく欠けているのは『政治力』。横綱相撲よろしく、受け身の姿勢で根回しをせずに大相撲では失敗してきた。アマチュア相撲も各都道府県に連盟があり、それぞれの長たちとの調整が必要になる。豊田会長がトップダウンで意思決定できる立場になれば、白鵬のウイークポイントも補える」(相撲ライター)
これはビジネス面でも光明であり、白鵬が協会と訣別する大きな理由となったようだ。
「かつて、トヨタは『トヨタカップ』というサッカーの国際大会に協賛していました。6大陸のクラブチームがそれぞれ予選から決勝トーナメントを戦うフォーマットは『世界相撲グランドスラム』にも応用できるでしょう。グローバルな市場に進出するとなれば、収益の柱になるのは配信によるコンテンツ収入になる。世界最大のプロレス団体のWWEも収益の7割超が配信コンテンツと言われます。大相撲のようにNHKに頼る必要もない」(スポーツ紙デスク)
これが成功すれば、相撲協会への強烈なリベンジになるだろう。
「若貴ブームの頃に比べると、力士の数は約6割にまで減少しました。その背景にあるのは、幕下以下には給料が支払われなかったり、共同生活を強制されたりと関取未満の待遇が悪い点。白鵬が設立する新団体にはバックに世界のトヨタが付くだけに、そんな古臭い悪しき慣習が引き継がれる心配はない。それこそ、企業イメージにかかわりますからね。“スモウレスラー”の待遇がよければ、世界の猛者たちから職業として選ばれやすくなるのは必然。そうなると、徐々に大相撲のエンタメ性はぶっ壊され、単なる“神事”になってしまうかも‥‥」(スポーツ紙デスク)
さあ、待ったなし、軍配はどちらに─。