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記事全文を読む→興収262億円「タイタニック」との共通点がこんなに!「国宝」一大ムーブメントの舞台裏/大高宏雄の「映画一直線」
「国宝」が大ヒット驀進中だ。尻上がりの稀有な興行展開で、まもなく興収60億円を超える。最終で100億円も狙えるというから驚きである。もはや「国宝ムーブメント」と呼んでいい。
上映時間は約3時間。普通なら興行的にはかなりハードルが高いのだが、その壁をモノともしなかった。
歌舞伎の演目をじっくりと描いた。歌舞伎役者を演じた俳優陣の素晴らしさも含め、圧倒的な評価が前代未聞の興行を切り開いた。
思い出す作品がある。長尺で興行の金字塔を作り上げた「タイタニック」(約3時間15分)だ。興収はなんと、262億円(リバイバル成績は含まず)。いまだに実写作品の国内歴代興収トップに君臨している。「国宝」と興行の推移がちょっと似ているのだ。
「タイタニック」は1997年12月20日に公開された。忘れられないのは、11月に開催された第10回東京国際映画祭で、世界初の上映があったことだ。会場にいたが、映画への反応は最高度であったと記憶する。
ジェームズ・キャメロン監督、主演のレオナルド・ディカプリオらが、上映に合わせて来日した。レオはすでに人気絶頂であった。来日のパーティーもあり(こちらにも参加した)、作品の存在が一気に知れ渡った。
ただ公開時、ヒットではあったが、とても100億円クラスを狙えるようなスタートではなかった。当時の映画館事情がある。上映回数に融通性のあるシネコンは、まだ全国に広く普及していなかった。
回数が限定的な既存館での上映がほとんどだった。3時間を超える作品なので、1日3回ほどしか上映できない。つまり、興行のキャパシティーに限界があったのである。
ところが年が明けても数字は落ちず、しだいに興収が積み重なっていった。今のように、一気呵成に興収を上げようという映画館システムとは違う。回数が限られているから、見る側にも、じっくり見ようという姿勢があった。興行の息が長かった。
その年の第70回アカデミー賞は、3月23日に発表された。ここで、最多14部門ノミネートの「タイタニック」は、作品賞など11部門の受賞を果たす。
一段と興行に馬力が入ったのは、ここからだ。受賞がさらに絶大な効果となって表れた。客層がますます広がり、興行は未知の領域に突入した。
「タイタニック」にあった受賞効果は「国宝」にはない。一方で「国宝」が公開後、すぐに見せた尻上がりの展開は、「タイタニック」にはなかった。
それでも2作品が3時間クラスの長尺作品の興行の壁を打ち破り、公開後に圧倒的な数字の伸びを見せたのは、大きな共通点だ。
実のところ、内容面でも非常に似通った点がある。ドラマ部分と「見せ場」のシーンに、とんでもない威力があったことだ。この両要素はエンタメ作品の根幹をなす。
「タイタニック」なら、恋愛模様に沈没シーンのスペクタクル。「国宝」なら、歌舞伎の跡目をめぐる2人の歌舞伎役者の確執に、歌舞伎の演目の数々のシーンということになる。両者が見事に噛み合ったからこそ、圧倒的な評価につながったのだろう。
映画(興行)の面白さとは、予想外のことが起きる点にある。誰も予想も想像もしないことが起こる。データでは解明できない、魅力にあふれた可能性の芸術、エンターテインメントたるゆえんだろう。そのことを、改めて思い知った。
(大高宏雄)
映画ジャーナリスト。毎日新聞「チャートの裏側」などを連載。「アメリカ映画に明日はあるか」(ハモニカブックス)、「昭和の女優 官能・エロ映画の時代」(鹿砦社)など著書多数。1992年から毎年、独立系作品を中心とした映画賞「日本映画プロフェッショナル大賞(略称=日プロ大賞)」を主宰。2025年に34回目を迎えた。
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