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Posted on 2025年08月10日 18:00

魚谷侑未(麻雀)楽しむことより「勝ちにこだわる」のが魚谷流!/華麗なる「プロフェッショナル女子」の流儀

2025年08月10日 18:00

 09年にプロ雀士としてデビューし、数多くの主要タイトルを手にしてきた魚谷侑未(39)。7月に開催された「世界麻雀TOKYO2025」では、日本代表として出場も果たした。長年にわたり女流麻雀界を牽引してきた流儀とは。

─世界麻雀の結果は、いかがでしたか。

 やはり優勝を目指して出場したので、満足できていません。ただ、麻雀は運の要素がとても強い競技なので、1つの大会で真の実力を測るのは難しいんです。もちろん、結果を出すために戦ってはいますが。

─最終的な順位は?

 団体戦はベスト8に進出できなくて13位。個人戦はベスト32に入ることをまずは目指していましたが、72位でした。ポイントは57.3です。

─ポイントは1回の対局ごとに、その順位によって加算されるんですね。

 はい。例えば32位の人が100ポイント持っていて、自分が40ポイントだった場合「残りの対局で60ポイントをどう稼ぐか」という計算をして戦う感じです。

─結果が出なかった時は落ち込むものですか。

 いえ、そこまでは(笑)。麻雀では「どれが正解だったか」がはっきりしないことが多いので、自分なりに反省点がある時は反省しますけど、そうでなければ結果として受け止めることも大事だと思っています。今回も細かい反省点はありますが「これが敗因だった」と言い切れるような大きなミスはなかったと思っていて。予選の時点で運にあまり恵まれなかったな、という印象です。

─世界麻雀は多くの日本人選手が出場していました。初の日本開催というのもあったと思いますが、そもそも日本の麻雀のレベルは高いんですね。

 そうですね。麻雀の発祥は中国ですが、日本は「リーチ麻雀」の発祥国ですし、競技人口も多い。今回も個人戦の上位に多くの日本人選手が入りましたので、レベルの高さは証明されていると思います。

─そんな中でプロデビューされて16年。魚谷プロにとって、麻雀の楽しさや魅力はどこにありますか。

 私の場合は「楽しむ」というより「勝ちたい」という思いが強いですね。若い頃からずっと勝ってきたという実感があるので、やっぱり勝利の喜びがいちばん大きいです。それと、大人になってから、こんなに悔しいって感じられるものって他にないと思うんですよ。麻雀は感情の起伏が激しくて、そこがすごく魅力的です。そして私が目指しているのは、単に勝つだけではなく、麻雀を理解している人に「この人、本当に強い」と評価されることです。つまり、視点と内容の両方で認められることが、私にとっての頂点です。

─勝ちへのこだわりが魚谷プロの流儀なんですね。そのためには日々、何をどう鍛えているのですか。

 麻雀にも“基礎練習”的なものがあって、例えば「自分の手牌からどの牌を切るかという判断を正確に積み重ねていくこと」が基礎になります。そして麻雀は相手が3人いますから、その3人が「どう考えているかを読む」ことができれば圧倒的有利になります。すべてを読み切ることは不可能ですけど、少しでも精度を上げることはできる。そのためにプロの仲間と集まって勉強会を開いたり、ネット麻雀を使って対局して、その後「牌譜」を見返して検討したり、AIに判断を仰ぐこともあります。

─AIですか。

 はい。今はまだ人間よりAIが完全に強いとは言い切れないんですが、基礎的な判断についてはかなり正確です。将棋みたいに“AI最強”となるには、もう少し時間がかかるかもしれませんが。

─そうやって「何が正解か」を瞬時に判断する訓練をするわけですね。

 そのとおりです。麻雀はテンポよく「牌を持ってきて、すぐ切る」が基本ですから、「1打に1分」とかの時間はかけられません。正解の手を瞬時に判断できるようになるためには、知識を学び、それを実際に使えるように実戦を重ねて、体に覚えさせていくしかないですね。そして、常に自分をアップデートしていくことも必要です。

─具体的には?

 今はこの戦術が流行っているから有効でも、しばらくすると別の戦術が台頭してくるので、そのたびに自分の打ち方もアップデートしなければいけません。長いスパンではありますが、麻雀もトレンドが確実に変わっていく競技だと思っています。最近ではAIが登場して、それによってまた新たなセオリーが生まれています。戦術や常識がどんどん変化しています。

─強くなるためや、その強さをキープするために、たゆまぬ努力が必要なんですね。

 そうですね。本当に“終わりがない”っていう感じで。いくらやっても、次々に課題が見つかります。

─最近はMリーグを中心に、麻雀関連のニュースを見ることも増えました。

 うれしいですね。10年前はCSチャンネルの麻雀番組に出演しても街で声をかけられることはほとんどありませんでした。でも、この前も名古屋のホテルのロビーで「写真撮ってください」と言われたりして、昔では考えられないようなことが起きています。

 私自身は所属していたチームとの契約が満了して、今はどこのチームにも所属していませんが、またMリーグで戦うためにも、さらに麻雀の腕を磨いていきたいと思います。

魚谷侑未(うおたに・ゆうみ)85年生まれ、新潟県出身。09年、日本プロ麻雀連盟所属のプロ雀士としてデビュー。13年から「女流桜花」を2連覇するなど数多くのタイトルを獲得。18年から24年6月までMリーグ「セガサミーフェニックス」でも活躍した。著書「ゆーみんの麻雀はじめてみませんか」(マイナビ出版)が好評発売中。

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