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記事全文を読む→奇跡の脱北起業家〈第5回〉なぜ彼女は「平壌冷麺」と海を渡ったのか(1)「在日差別」をはね返した祖母
                    
                
韓国でも日本でも行列店となった「ソルヌン」。その味のルーツである済州島生まれのヨンヒの祖母が脱北する。デノミの導入で、稼いだ金は一夜にして紙くずになり、金正恩への怒りは収まらなかった。だが、祖母の試みは失敗‥‥。ついにヨンヒが脱北を決意する。
ヨンヒはおばあちゃんっ子だった。済州島で海女をしていた祖母、姜道子のことである。とにかくよく働く。在日帰国者が多い黄海南道の海州で小さなパン屋から起業し、念願かなって開いた「善女山食堂」で成功する。自慢の平壌冷麺はむろん、手の込んだアヒルの燻製が売れに売れた。味だけでなく、いつもにこやか、物おじしない肝っ玉母さんふうの人柄が愛された。ヨンヒはそんな名物女主人となった祖母が誇らしく、元山にいるときからちょくちょく遊びに行った。
「善女山という小高い山のふもと、広大な敷地に平屋の食堂が2棟、駐車場もありました。すぐ先は海州湾が広がり、貿易をしている外貨稼ぎの事務所が10以上あり、従業員がいっぱいくる。大きなタンクに毛をむしったアヒルがあふれていました。営業は夜の11時半まで。終われば、売り上げの勘定をする。おばあちゃんが米袋に入った北朝鮮のお札を数える。くしゃくしゃのお札を1枚ずつ広げて。私もお小遣いをもらい手伝いました。ほんとうによく儲かったそうです」
ところが、2009年11月、北朝鮮を驚天動地のニュースがかけめぐる。デノミネーション(通貨の呼称単位の変更)の断行だ。通貨ウォンを100分の1に切り下げるという。新紙幣に交換できる限度は一世帯あたり旧紙幣10万ウォンまでと定められた。
「おばあちゃんの食堂はドルではなく、北朝鮮のウォンで商売していたので、貯めていたお金が紙くずになった。ショックのあまり失神し、何日も起きられなかったんです。海州の中央広場には連日、いいかげんにしろと抗議する人が集まり、暴動のような騒ぎになったそうです。やけになって旧札の束を燃やしたり、金日成の銅像に投げつけたりした人もいたらしいです」
海州だけでなく、国中が大混乱に陥った。食料や商品を供給するあてもなくいきなりデノミを実施したため、物価は高騰、商店の棚は空っぽ、食堂も閑古鳥が鳴いた。当局は資本主義かとみまごう市場の拡大に危機感を抱き、計画統制経済に復帰させようと試みたのだが、人民、とりわけ富裕層の反発が激しく、たった3カ月で政策の誤りを認め、謝罪する。閉鎖された市場は再開し、外貨の使用禁止措置も解いた。
デノミは失敗に終わったが、これらは後継者、金正恩の実績づくりのためだったとささやかれた。ヨンヒの祖母の怒りは収まるはずもない。
「金正恩時代へのおばあちゃんの絶望が確信へと変わる事件でした。女手ひとつ、在日帰国者への差別をはねのけ、商売を軌道に乗せたのに、一夜にしてころっと政策を変える国を信頼できるはずなんてありません。実をいえば、おばあちゃんは還暦をすぎたあたりから、生まれ故郷、済州島に帰りたい、育った日本にも行きたい、との思いが募つのってきていたそうです。年に1回、中国との国境に近い新義州や恵山にふらっと出かけていたんです。いくら尋ねても、商売のことでねと口をにごすだけ。脱北するため、腕ききのブローカーを探していたんです」
鈴木琢磨(すずき・たくま)ジャーナリスト。毎日新聞客員編集委員。テレビ・コメンテーター。1959年、滋賀県生まれ。大阪外国語大学朝鮮語学科卒。礒𥔎敦仁編著「北朝鮮を解剖する」(慶應義塾大学出版会)で金正恩小説を論じている。金正日の料理人だった藤本健二著「引き裂かれた約束」(講談社)の聞き手もつとめた。
写真/初沢亜利
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