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記事全文を読む→黒ネコの飼い主が複雑な思いで見る「全国クマ騒動」「クマと黒ネコの身のこなし」
全国各地で起きている熊騒動が連日、テレビで報道されている。多くは騒動のことだけを取り上げるので、熊はそもそもどんな生き物かについては詳しくやらないが、通り一遍ながら調べてみると、熊と人間の関わりには長い歴史があることがわかる。
日本にはツキノワグマやヒグマ、中国にはパンダがいる。危険な動物とひと言で片付けることはできるが、騒動を考えれば不謹慎ながら、かわいらしい一面がある。
個人的にすぐに思い出すのは、映画「男はつらいよ」の33作目「夜霧にむせぶ寅次郎」のラストシーン。マドンナの中原理恵が北海道に戻って堅気の男と結婚することになり、寅さんが披露宴に駆けつけるのだが、到着する直前に熊に襲われそうになる。そのドタバタぶりが滑稽で、同時に熊の怖さも伝わってくる。さすが名手・山田洋次監督という一本だ。
猫のコラムなのに熊の話から始めたのは、お察しいただけるかと思うが、我が家の3匹の猫のうち、いちばん下の黒猫の「そうせき」を見ていると、熊と重なってしまうからだ。真っ黒な小熊、といった具合で…。
そうせきの体重は6.67キロ。頭から尻尾が生えているところまで計ると、45センチほど。猫としては大きい方で、この3倍程度が体調1メートルを超える熊になる。
そうせきは抱っこすると、ずっしり重たい。そのくせ身のこなしが素早く、2メートルを超える飾り棚のてっぺんに、一瞬で登ることができる。自宅の2階から1階へと降りる階段は4~5メートルくらいの距離。それをアッという間に1秒ほどで、ジャンプしながら駆け降りるのだ。リビングをノソノソ歩いている時にいきなり走り出すことがあるが、その素早さといったら…。
そんな身のこなしも、テレビで見ている熊とオーバーラップする。川そばの藪を逃げていく熊の姿が映し出された時は、そうせきもあんなふうに駆けるだろうな、と思いながら見てしまった。とにかく真っ黒で時に素早く動く熊が、そうせきに見えてしまう瞬間が、このところ毎日あるのだ。
黒猫の不思議の最たるものは、目の色だと思う。そうせきの目はアンバーといって、イエロー・ゴールド。英語では透明感のある茶褐色を表す言葉だが、飼い始めて、それまで見たことがない色をしているな、というのが第一印象だった。
日本のミックス(雑種)の黒猫に多いといわれるのは、ヘーゼル(グリーンとブラウンが混ざった色)だ。グリーンまたはエメラルドグリーン、ミックスに多い銅色(赤みのある茶色)のカッパーの猫もいる。分類すると4種類のようだ。総じてメラニン色素が濃いカラーだそうだ。
性格的には、人懐こくて好奇心旺盛で活発。これはウチのそうせきにそのまま、当てはまる。ただし、人懐こいのは飼い主に対してだけで、よその人への警戒心は強い。
そんな黒猫のそうせきを、飼い主が熊と重ねて見ているとは思いもしないだろう。その意味でも、今の熊騒動には複雑な思いを抱いてしまうのだった。
(峯田淳/コラムニスト)
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