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記事全文を読む→【マイルCS激闘譜】圧勝・川田将雅がレースでジャンタルマンタルに語りかけた「よしよし、大丈夫」「ほら、泣いてるぞ」「西日っていうのはキレイだな」
今年のGI・マイルチャンピオンシップ(11月23日、京都・芝1600メートル)は、断然の1番人気に推されたジャンタルマンタル(牡4)が、圧倒的な強さを見せつけて優勝した。だがJRAがレース後に公開した公式YouTubeチャンネル「ジョッキーカメラ」に記録された「馬上肉声」からは、鞍上の川田将雅が薄氷を踏む思いで愛馬を圧勝へと導いた、凄絶な舞台裏が鮮やかに浮かび上がってくるのだ。
絶対に取りこぼしの許されない一戦。ところが不吉な予兆は、本馬場入場後に早くも漂い始める。返し馬に入ったジャンタルは、口を割って抵抗。鞍上の川田は他馬のゲートイン終了を待つゲート内で愛馬を必死になだめるべく、次のように声をかけた。
「よしよし、大丈夫、大丈夫。ちょっと我慢よ。ハイ、ハイ、まだだよ。まだしばらくかかるから。まだまだ。大丈夫、大丈夫。よしよし、ホッホッホッ」
はたせるかな、スタート直後から好位に取り付いたジャンタルは3角手前まで口を割り続けたが、淀の坂上を越えたあたりから鞍上の指示に応えて、ようやく折り合いを取り戻した。この間、「このままでは後続馬にやられるかもしれない」と焦り始めていた川田が、愛馬の変化を感じ取ってホッと胸を撫で下ろしたことは想像に難くない。
そうして迎えた最後の直線。人馬一体と化したジャンタルは、ほぼ持ったままの勢いで後続馬をグングン引き離す。そして栄光のゴール板がハッキリと目に入ってきた時、川田は馬上で次のように絶叫したのである。
「頑張れ! レッツゴー! 行けー!」
それだけではない。ゴール板を通過したその刹那、川田は奇声にも近い「イヤー!!」との叫び声を上げ、渾身の喜びを爆発させたのである。
その後も人馬ともに「ハア、ハア」という激しい息遣いが収まらぬ中、川田と愛馬との会話はしばらく続いた。
「いやあ、さすがだよ。本当のチャンピオンだ。よし、ゆっくり帰ろう。素晴らしい。素晴らしいぞ。よしよし。よしよしよしよし」
折しも、スタンド前に戻る川田とジャンタルの顔は、晩秋の西日に照らし出されていた。
「西日っていうのはキレイだな」
愛馬にこう声をかけた川田は、待ち構えていた厩務員が歓喜の涙にむせぶ姿を見るや、愛馬に「ほら、泣いてるぞ」と再び声をかけるとともに、飛び出してきた高野友和調教師らに、興奮冷めやらぬ調子で次のようにまくし立てたのだ。
「ありがたい! 素晴らしい具合、完璧な出来でしたよ。前回がいい調教になった。文句を言われることのない強さだった。本当に偉い!」
思わず口を突いて出た「前回がいい調教になった」の「前回」とは、太め残りで2着に負けたGⅡ・富士S(東京・芝1600メートル)を指している。前走を調教代わりにしての大一番。前述した不吉な予兆を含め、今回のマイルCSは名手で鳴らす川田にとって、言い知れぬプレッシャーがかかる一戦だったのである。
ちなみにレース後の勝利ジョッキーインタビューに臨んだ川田の両目は、たまった涙で光っていた。
(日高次郎/競馬アナリスト)
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