スポーツ
Posted on 2025年11月26日 06:30

長嶋茂雄がプロ野球界で実現を阻まれた「2つの大改革」があった!「日本野球を根本的に変える捕手」と「2軍に巣食う古参OB駆逐」

2025年11月26日 06:30

 関係者の部、一般の部を合わせて約3万2000人が別れを告げた「ミスタージャイアンツ 長嶋茂雄 お別れの会」(11月21日、東京ドーム)からしばらく経つが、実はミスターがやろうとしてできなかったことが2つある。
 ひとつはメジャーリーグから捕手を獲得すること。もうひとつは2軍などの育成システムを改革し、メジャーリーグ並みのシステムを作ることだった。

 1975年に長嶋氏が監督に就任するやいなや、真っ先に取り組んだのは、当時メジャーNo.1捕手といわれた、ジョニー・ベンチの獲得だった。類いまれなインサイドワークと肩の強さに長嶋氏は、
「捕手は野球の要。そこにメジャーの選手を据えれば野球のスピード、考え方など全てが変わる。日本の野球を根本的に変えたかった」
 晩年、そう語っていたのだ。だが、その思いは遂げられず。
 第二次政権でもベニート・サンティエゴというメジャー捕手の獲得を狙ったが、巨額年俸がネックになって実現しなかった。

 そしてファーム改革だが、
「ジャイアンツの2軍は選手が育つシステムではない。抜本的に改革したい」
 そんな信念から、ドジャースのアイク生原氏を2軍監督として迎えたかったのだが、アイク氏は長嶋氏が監督復帰する前年の1992年に死去してしまった。生原氏の死去は長嶋野球を実現する上で、大誤算だった。

 長嶋氏が問題視したのは、巨人というネームバリューを利用し、2軍に巣食う古参OBが数多くいたこと。球場設備が貧弱なこと。育成方針が曖昧なことだった。
 その後、早稲田大学監督、社会人野球のプリンスホテル監督を経験した石山健一郎氏を2軍責任者に抜擢したが、巨人OBの総スカンを食い、改革はできなかった。

 2000年代に入り、ソフトバンクが3軍制を敷くなど、ひと足早く育成システムを見直した。それに追随する形で各球団がファーム体制を見直し、巨人もようやく今年、2軍のジャイアンツ球場を大幅に改装した。長嶋氏の発案から30年以上が経過していた。

 とはいえ、メジャー現役捕手の獲得は、いまだ実現していない。メジャー捕手が来たら、4年連続盗塁王の阪神・近本光司でも盗塁は困難になる。「スピード&チャージ」という長嶋氏が夢に描いていた野球は、未完のままである。

(健田ミナミ)

全文を読む
カテゴリー:
タグ:
関連記事
SPECIAL
  • アサ芸チョイス

  • アサ芸チョイス
    社会
    2025年03月23日 05:55

    胃の調子が悪い─。食べすぎや飲みすぎ、ストレス、ウイルス感染など様々な原因が考えられるが、季節も大きく関係している。春は、朝から昼、昼から夜と1日の中の寒暖差が大きく変動するため胃腸の働きをコントロールしている自律神経のバランスが乱れやすく...

    記事全文を読む→
    社会
    2025年05月18日 05:55

    気候の変化が激しいこの時期は、「めまい」を発症しやすくなる。寒暖差だけでなく新年度で環境が変わったことにより、ストレスが増して、自律神経のバランスが乱れ、血管が収縮し、脳の血流が悪くなり、めまいを生じてしまうのだ。めまいは「目の前の景色がぐ...

    記事全文を読む→
    社会
    2025年05月25日 05:55

    急激な気温上昇で体がだるい、何となく気持ちが落ち込む─。もしかしたら「夏ウツ」かもしれない。ウツは季節を問わず1年を通して発症する。冬や春に発症する場合、過眠や過食を伴うことが多いが、夏ウツは不眠や食欲減退が現れることが特徴だ。加えて、不安...

    記事全文を読む→
    注目キーワード

    人気記事

    1. 1
    2. 2
    3. 3
    4. 4
    5. 5
    6. 6
    7. 7
    8. 8
    9. 9
    10. 10
    最新号 / アサヒ芸能関連リンク
    アサヒ芸能カバー画像
    週刊アサヒ芸能
    2025/11/18発売
    ■530円(税込)
    アーカイブ
    アサ芸プラス twitterへリンク