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記事全文を読む→原田龍二「誰がなんと言おうと霊はいる!」〈今週の龍言〉遅刻しても「あ〜、俺が来たから大丈夫だ!!」と言える人になりたい
今週は尊敬する昭和の大先輩たちについてお伝えしようと思います。
まずは01年、映画「ホタル」で共演した高倉健さん。束の間ですけど、同じ時間を過ごさせていただきました。私生活がミステリアスな方でしたけど、結局、謎のまま。何故かというと、僕が積極的に知ろうとしなかったんですよ。今の僕だったら、
「健さん、お化けっていると思いますか?」
とか聞けたはずです。絶対聞くと思うし、実際聞く時間もあったんです。でも、当時はなんだか聞こうという気持ちが起こらなかった。
健さんの横にいるだけで満足しちゃうようなオーラ。いやオーラではなく、大スター・健さんという先入観があったのかもしれないですね。
撮影の後半、ちょっとした準備の時間に、
「原田くんとご飯に行けなかったね」
と、不意に声をかけていただいたんですね。
僕は、ただ「はい」と答えるだけで精一杯、そこで会話が終わってしまいました。あの時、何か言っておけば、健さんと言葉を交わすことができたのに。今となっては「原田くん」と名前を呼んでいただいたことだけが、いい思い出です。
感慨深いのは丹波哲郎さんとの「水戸黄門」での共演です。
丹波さんは水戸藩家老・山野辺兵庫を演じていたのですが、遅刻しても全然平気な顔してやって来るんです。
「あ〜、俺が来たから大丈夫だ!」
残念ながら、全然大丈夫ではないんですよ。
「監督、Aパターンがいいか? Bパターンがいいか?」
何パターンか芝居のパターンを用意してきているというんですけど、その演技プランがどっちもまったく同じなんです。
それと丹波さんはセリフを覚えてこないという逸話がありますよね。「俺、セリフを覚えてないんだ」などと言って助監督がカンペを作り、それを読んでいるんじゃないかと。
丹波伝説としては毎回カンペが出てるようなイメージですよね? でも、それは表向きのポーズ。実はちゃんと覚えてるんだけど、覚えているっていうふうに思われるのが嫌という照れ隠しみたいな感じ。ワザとできない人間を演じていたのが真相じゃないかと思うんです。
だって、最初からできないと思われていたほうが演じる上では楽じゃないですか。実際、ご一緒した「水戸黄門」の現場ではカンペは出ていませんでしたよ。
もちろん現場によっては、カンペを出すこともあったんでしょう。でも、僕とのシーンでは一切出てなかったことは、ここでハッキリ言っておきたいと思います。
「水戸黄門」は準レギュラーみたいな形だったんで、毎回いらっしゃるわけじゃありません。なので、こそっとセットの中に入ってくるんじゃなくて、「あ〜、俺が来たからもう大丈夫だ!」とちょっとかますことで、ご自身の緊張をほぐしてらしたんじゃないでしょうか。
「あ〜、俺が来たから大丈夫だ!」って、僕も言ってみたいですよ。そう言えるようになれば楽ですね。あと10年も経てば言える日が来るんじゃないでしょうか。
06年に丹波さんが亡くなって、08年から山野辺兵庫役は長門裕之さんに引き継がれました。
長門さんのお芝居はアドリブっぽいといいますか、セリフ通りに喋らないんです。詰まっても笑ってごまかしたりして、とてもナチュラルなんです。
僕は長門さんの芝居がとても好きで、もう長門さんの一挙手一投足に釘づけでウオッチしてたんですよ。見ていると長門さんは常に酔っ払ってるみたいなんです。もしかしたら、本当に酔っ払っていて、それをごまかしていたのかもしれないですけど。
ちなみに御老公役の里見浩太朗さんは丹波さんのことを「パパ」と呼び、長門さんは里見さんのことを「こうちゃん」と呼んでいましたね。
ある時、
「ところで何でお前、俺のこと見てんだ? まっ、どうでもいいか」
僕が興味を示しているのが長門さんに伝わってしまいました。
僕が演じる佐々木助三郎は、合田雅吏くん演じる優等生の渥美格之進とは違って、御老公にも軽口を叩くキャラだったんです。
そういう芝居をしていたことも手伝って、撮影の合間、僕がクスクス笑ってると長門さんは、
「何、笑ってんだよ」
「いや、笑ってもいいじゃないですか」
みたいな感じで、ちょっと軽口を応酬することも、長門さんは楽しんでくれてましたね。
ある日、長門さんは、
「お前、うなぎ好き?」
「好きですよ」
「じゃあ、連れて行かない!」
「またまた、お願いしますよぅ〜」
みたいなやり取りで、結局は僕が好きな京都のうなぎ屋に連れてっていただいたことがありましたね。
その後、長門さんは具合が悪くなって亡くなってしまいました。
長門さんとは一瞬でしたけど、お互いの距離がギュッと縮まったんです。とても魅力的な人でした。
長門さん、以前、芸能界が騒然となった暴露本を出版したことがあったりして。決して普通ではない長門さんの感覚、僕はそこに惹かれたんですね。
人間って死んだら、その人の付き合っていた女性とか、一緒に悪さした男友達とのいろんな話が出てくるじゃないですか。だから女性の話が出てくるのは当たり前だと思っているし、若かりし頃の危うい話が出てきた時に、
「なんだよ、ヒーローじゃなかったの?」
とは感じません。
僕は人間っぽいエピソードが好きだし、一癖も二癖もある人間っぽい話を聞けば聞くほど、いいなって思うんですよね。
原田龍二(はらだ・りゅうじ)1970年生まれ。東京都出身。92年ドラマ「キライじゃないぜ」で俳優デビュー。「水戸黄門」「相棒」シリーズなど出演多数。温泉バラエティ「湯一無二」(MX)のほかユーチューブ「ニンゲンTV」ではゴーストハンターとしても活躍中
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