社会
Posted on 2026年01月17日 10:01

山上徹也被告 戦後最大の安倍元総理暗殺事件の後始末「1293日の暗黒」(2)「峰不二子のような声」の母

2026年01月17日 10:01

 第15回公判では、検察側の諭告に先立って昭恵氏の代理人による意見陳述の代読が行われた。全国紙社会部デスクが解説する。

「『言葉も交わせずに突然夫を亡くした喪失感は、一生消えることはありません』と長年の連れ合いを失った悲しみを吐露し、『拉致被害者の救出に尽力した』元総理を称える内容でした。しかし、『厳罰に処す』など量刑について触れることはありませんでした。また、事件の発端となった安倍元総理のビデオメッセージや教団との関わりについても一切触れられていませんでした」

 閉廷直前、裁判長から最終陳述を求められた山上被告は、「ありません」と首を振りながら返答。その内心とは‥‥。

「結審日前に弁護人に聞いていたのは、山上被告本人が連日の被告人質問に疲弊して、本来話すべきことも話せていない状況だったということ。言い漏れた話を聴けると期待していましたが、『頭の中がまとまらなかった』と最後の発言機会を逸してしまいました。昭恵さんなどからまったく落ち度のない『安倍晋三像』を聴かされて、感情の言語化を断念してしまったのかもしれません。改めて、事件の全体像がしっかり語られることがなかったのは残念です」(鈴木氏)

 もっとも、山上被告の心を大きく揺さぶったのは被害者遺族だけではない。11月18 日の第8回公判の証人尋問で出廷した母親を前に、“息子”としての一面を垣間見せていたのだ。

「旧統一教会をどっぷり信仰している母親に対しては、なかば呆れているような表情を浮かべるシーンもありました。母親の姿は遮蔽板に囲まれていて、傍聴席から確認することはできなかったのですが、声質が明るくて艶っぽいんです。まるで、『ルパン三世』の峰不二子のようなセクシーな声でした。山上被告とは正反対にペラペラ喋るタイプで、各尋問に対して食い気味に返答していました。母親の証言について感想を尋ねられた山上被告も『相変わらずだなと思いました』と振り返ったように、平常運転だったようです」(鈴木氏)

 同日と翌19日の第9回公判の証人尋問で出廷した4歳下の妹には、“兄”としてこみ上げるものがあったようで、

「『子供の私たちにはどうしようもなかった』と宗教二世の生い立ちと苦悩を涙ながらに語る妹を見て、涙をこらえていたように見えました。山上被告は感情に大きな動きがあると手でおでこを擦る癖があります。この時もすごく擦っていました。妹は、15年に自死した長男が死の直前に『電気代を貸してくれ』と言われたのに無視したことへの後悔も語っていましたが、山上自身も母親の献金とみずからが引き起こした事件により、妹にいちばんつらい思いをさせたという認識が強かったのでしょう」(鈴木氏)

 不遇な時代をともに過ごした兄妹。事件の背後にある悲惨すぎる家族事情は当事者にしか理解できまい。

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