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記事全文を読む→江上剛が選ぶ今週のイチ推し!〈まったく反省していない!凶悪犯罪事件加害者に怒り〉
「償い 綾瀬女子高校生コンクリート詰め殺人事件 6人の加害少年を追って」
山﨑裕侍・著
文藝春秋/1980円
「綾瀬」と聞いて、人は何を思い浮かべるだろうか。私は1989年に綾瀬で発生した「女子高生コンクリート詰め殺人事件」を思い出す。本書はこの事件の犯人の少年たちを長年にわたって追い続けた元「ニュースステーション」(テレビ朝日系)のディレクターによる渾身のルポである。
最初に接触したのは少年院送致となったF(当時16歳)。27歳のFは妻と2人の子供と幸せそうに暮らしている。本書の特徴は、インタビューをほぼそのまま脚色や要約せずに記述していることだ。そのため犯人たちの思いが、現実感をもって肉迫してくる。
ここでFの口から話される女子高生への凌辱の様子は、読むに耐えない。なぜこんな男が、今、妻子と幸せに暮らしているのかと一読者ながら怒りに震えてくる。Fは罪を償う意味について「忘れないということ。ずっと悩んでいくこと」と答える。
著者はFが入所していた少年院を取材し、Fの「一生償い続ける」という姿勢に共感しているが、私はまったく共感できなかった。もっと厳罰をくだすべきだったのではないかとさえ思った。
主犯格A(当時18歳)は懲役20年だったため取材当時は刑務所に入っていた。私がネットで検索すると、09年に出所したが、13年に振り込め詐欺で逮捕され、その後、消息不明らしい。まったく反省していないではないか。
04年、準主犯格B(当時17歳)が、監禁暴行事件を起こす。著者は母親のインタビューにこぎつける。再犯の原因は、母親がBに紹介した暴力団員が関係していたのだ。なんという親子関係だ。これでは更生できるはずがない。私は、また怒りを覚えた。
その後、Bは出所後、脳出血で死んだ。Dも病死していた。AもCも再犯した。凶悪な犯罪を犯した者たちのその後の人生も報われていない。それは償われていないからであり、世間も彼らを許さないからだ。再犯率の高さがそれを物語っている。国も再犯を減らすべく懲役から拘禁刑という更生を重視した刑罰を導入した。
著者は被害者の支援が不十分な中で、加害者の権利や支援ばかりが先行することに拒否感を持つ人が多いことに「当然である」と言う。
そして、加害者の立ち直りの支援とともに、犯罪被害者の支援、加害者からの確実な賠償金支払いの履行などの充実を強調する。
最近も闇バイト事件、少年の暴行事件などが多く発生している。
本書は、事件関係者のインタビューを可能な限り生のまま掲載することで、臨場感あふれる内容となっている。よりよい社会を築いていくために一石を投じた力作である。
江上剛(えがみ・ごう)1954年、兵庫県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。77年、旧第一勧業銀行(現・みずほ銀行)に入行し、人事部や広報部を経て、支店長などを歴任。02年に「非情銀行」で作家デビュー。10年、日本振興銀行の経営破綻に際して代表執行役社長として混乱の収拾にあたる。「翼、ふたたび」など著書多数。
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