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記事全文を読む→寺脇研が選ぶ今週のイチ推し!〈締切と闘い続けた大漫画家の“ユニークな人生観”に脱帽〉
「締切と闘え!」
島本和彦・著
ちくまプリマー新書/990円
締切に追われた経験のない人は、まずいないだろう。レポート、卒論、納期‥‥さまざまな締切に遭遇して焦った経験はお持ちのはずだ。
そんな中で、恐らく最も厳しい部類は、連載漫画の締切だろう。本書では、売れっ子漫画家のさまざまな逸話が残されている。手塚治虫は、何本もの連載を抱えて締切に間に合うかどうかの綱渡りの連続で、タクシーの中でも飛行機の中でも原稿を描いたという。
著者は、大学時代にデビューして以来、40数年にわたり第一線で活躍する人気漫画家だ。「炎の転校生」(小学館)、「逆境ナイン」(小社刊)、「アオイホノオ」(小学館)などアニメ、映画、テレビドラマになったヒット作も数多い。著者が綴る自らの体験は、常に締切を頭に置いて仕事してきた当事者だけに実に生々しい。
なにしろ幼い頃、手塚治虫に憧れて漫画家を志したというだけに、アマチュア時代から「自分も締切に追われてみたい」と密かに願っていたというのだ。もちろん、よほどのことがない限り、締切を破るわけにはいかない。というので、さまざまな秘技を開発することになる。
進行状況を問う担当編集者からの電話には、まだ全然取りかかってもないのに「できてます」と明るくハキハキ嘘をつくのだそうだ。状況を正直に答えても、お互い前には進まない。進行中の話の中身を問われて頭の中でひねり出した展開を話すうちに、ストーリーが出来上がっていく。「追い詰められたら笑え」「ピンチは自分の限界を知るチャンス」「たかが漫画、たかが勉強、たかが仕事」といった著者の信条も、よく考えると納得できる気がする。漫画以外の世界でも通用する思考法だと心に留めたい。
その上で「でもやっぱり、締切があると頑張れる」と題した最終章には、著者の漫画家人生が集約される。60代半ばに差し掛かる大ベテランの著者は、33年ぶりに週刊誌連載という過酷な締切を背負う道を選ぶのだ。週刊少年サンデーで連載中の「ヴァンパイドル滾」は、新人がする「持ち込み」、すなわち原稿を編集部へ届けて、掲載の可否を問う行為から始まって実現した。この飽くなき挑戦に拍手を送りたい。
石ノ森章太郎、藤子不二雄、あだち充‥‥名だたる巨匠たちのエピソードが随所に使われていて楽しめるが、何より魅力的なのは著者のユニークな人生観である。なにしろ、「かっこよく負ければいい」というのだ。勝ち負けや損得に左右されるのでなく、目の前の締切に向かって闘い続けた一言なのだろう。
なお、さらに詳しく島本和彦という男を知りたければ、現在も連載中で単行本は第32巻が最新刊の「アオイホノオ」(小学館)をお勧めしておきたい。
寺脇研(てらわき・けん)52年福岡県生まれ。映画評論家、京都芸術大学客員教授。東大法学部卒。75年文部省入省。職業教育課長、広島県教育長、大臣官房審議官などを経て06年退官。「ロマンポルノの時代」「文部科学省 『三流官庁』の知られざる素顔」「昭和アイドル映画の時代」、共著で「これからの日本、これからの教育」など著書多数。
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