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記事全文を読む→中日の「チャンス台無し男」尾田剛樹が驚きのミスを繰り返しても「代わりがいない」ベンチの異常事態
竜党が呆然とする場面だった。4月29日のDeNA戦、9回一死一・三塁。中日は2点を追う土壇場で、一塁には同点の走者が立っていた。先頭の細川成也が右翼フェンス直撃の二塁打で出塁し、続くボスラーが中前打を放って作ったチャンス。
そのボスラーの代走として送り込まれた尾田剛樹が、独断で盗塁を試みて、あっさり刺された。連勝は4でストップ。バンテリンドームを包んだのは、怒りと呆れが入り混じった、深いため息だった。
なぜ走ったのか。尾田は試合後、こう明かしている。
「初球は『待て』と言われていて、2球目から『いこうか』という話はしていました」
そして2球目にスタートを切る。走った根拠は「牽制があまりない投手だったから」の一点だ。
しかし、相手バッテリーはピッチアウトで完璧に対応し、捕手・松尾汐恩が外角へ大きく外した球を受けた瞬間、勝負はついていた。スタートが遅く、二塁のカバーに入った京田陽太が余裕を持ってタッチした。
困惑したのは指揮官だ。井上一樹監督は尾田に、100%成功と確信した場面でスタートを切る権限、いわゆる「グリーンライト」を与えていた。
しかしこの場面、指揮官の内心は「走らないだろう」だったという。東海テレビの解説を務めた権藤博氏は、
「考えられないミスですよ。監督のミス」
と一刀両断。井上監督自身も、
「もうちょっと状況判断をできれば。こちら側の指示をもう少し明確にしてあげられたらよかった」
そう認めざるをえなかったのである。
中日ファンにとっては「一種の恐怖」になった
尾田は2000年生まれ、兵庫県明石市出身。高野山高から大阪観光大に進み、BCリーグの栃木ゴールデンブレーブスを経て、2023年育成ドラフト3位で中日に入団した。
最大の武器は50メートル走5秒9の俊足で、1軍では代走と守備固め専門の切り札として期待されてきた。2軍では2025年のウエスタン・リーグで首位打者と最高出塁率のタイトルを獲得し、チームトップの25盗塁を記録している。数字だけ見れば、間違いなく逸材だ。
だが1軍では、考えるより先に体が動いてしまう。昨年7月20日のDeNA戦は、その典型だった。守備固めで入った9回、レフトへの打球を後逸して同点を許し、ベンチで涙を見せた。翌日、1点ビハインドの9回に代走で出場するや、一塁で牽制死。2日続けて終盤の大事な場面を自らひっくり返し、7月22日に1軍登録を抹消された。
今季も4月10日の阪神戦で、右翼守備のファンブルから逆転を許し、翌11日に降格。4月25日に再昇格した際には「1軍で何度もミスをして、皆さんに迷惑をかけてしまった」と反省を口にした。そして迎えた4月29日…「懲りない」では済まない。
尾田が絡む終盤は、中日ファンにとってすでに、一種の恐怖と化している。足だけは本物だ。問題は、その足をどの場面で使うか。外野の故障者が相次ぐ中日に、尾田の代わりはなかなかいない。本人も首脳陣も、それをわかっている。だからこそ。始末が悪いのだ。
(ケン高田)
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