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記事全文を読む→「広島クビ⇒四国アイランドL徳島⇒ソフトバンク契約」小林樹斗の投球を蘇らせた「徳島コンディショニングハウス」動作解析の眼力
ソフトバンクが5月20日に発表した育成契約の一報を見て、藤井皓哉の名前を思い出した。広島を戦力外になった後、独立リーグを経て、ソフトバンクで勝ちパターンの一角まで上り詰めた右腕だ。
今回、ソフトバンクが手にしたのもまた、カープが手放した23歳右腕である。背番号は「165」。四国アイランドリーグplus・徳島インディゴソックスでプレーしていた小林樹斗である。
小林は智弁和歌山から2020年ドラフト4位で広島に入団した。素材評価は高く、1年目の2021年に1軍デビュー。翌年も1軍のマウンドを踏んでいる。
ところが2022年に右肘を疲労骨折してからは、故障に泣かされ続けた。手術に踏み切ったが調子は戻らず、2024年に戦力外通告を受けて育成契約に。それでも支配下復帰はならず、昨シーズン限りで2年連続の戦力外となった。
11月の12球団合同トライアウトを受験し、進路が決まらぬまま年を越している。
転機となったのは、今年1月の徳島入団だった。新天地では7試合で3勝1敗、27イニングを投げて34奪三振、防御率2.33。リーグ屈指の数字を残し、球速は自己最速の154キロをマークした。5月初旬には9回を完投して14三振を奪う、圧巻の投球を見せている。
ただ調子が上向いただけではない。復活にははっきりとした「理由」がある。
徳島の育成を支えるのは、ストレングス&コンディショニング、ケアのトレーナーを派遣しているインディゴコンディショニングハウスだ。代表の殖栗正登(うえぐり・まさと)氏は徳島大学でピッチングのバイオメカニクスを共同研究し、独立リーグの現場で投手育成に携わってきた人物である。
殖栗氏がXで明かしたところによると、球団オーナーの依頼を受けて、小林の入団テスト時に動作解析を行い、智弁和歌山時代より動きが落ちている点を見つけた。これはトレーニングと体づくりで改善できる、と伝えたという。その後、小林は好成績を残してNPB復帰を勝ち取った。
「なぜこの素材を生かしきれなかったのか」広島カープへの疑問
今季のソフトバンクは投手陣に故障者や不調者が相次ぎ、開幕ローテーションの軸を欠く苦しい台所事情を抱えている。皮肉なことに、再生のモデルケースである藤井も、今季は離脱中だ。
それだけに、先発候補になりうる素材をシーズン中に確保できる育成契約は、理にかなった一手といえる。藤井が花開いた前例があるぶん、期待は高まるのだ。
今季の広島は投手陣の安定感を欠いたまま、勝ち越せない苦しい戦いが続いている。もし小林がソフトバンクで支配下を勝ち取り、1軍で戦力になれば、それは本人にとって紛れもない復活劇であると同時に、広島にとっては「なぜこの素材を生かし切れなかったのか」という苦い答え合わせとなる。
とはいえ、これを単純に「広島の育成失敗」と片づけるのは早計だろう。むしろ際立つのは、広島が生かしきれなかった素材を短期間で立て直してみせた、徳島の眼力だ。動作解析によって衰えの正体を数値で突き止め、トレーニングで埋めていく。徳島は2025年まで13年連続で、NPB入りする選手を送り出している。独立リーグの一球団が培ってきた育成の確かさを、この移籍があらためて感じさせてくれるのだ。
(ケン高田)
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