スポーツ
Posted on 2026年07月11日 10:00

だから野球離れに拍車がかかる…高校野球連盟が「野球用語の言葉狩り」始めるってよ!

2026年07月11日 10:00

 今年も全国高校野球選手権大会(夏の甲子園大会)の地方予選が始まったが、なんと高野連がトンデモない改革に乗り出すという。
 河北新報が報じたところによれば、宮城県高校野球連盟(松本嘉次理事長)は、物騒な表現を含む野球用語の使用を考え直すとして、今秋にも連盟幹部ら10名による検討委員会を設置する。

「物騒な表現」とは何か。対象となるのは牽制球やダブルプレーなどで、松本理事長によれば、
〈高校球児たちが「刺せ」や「殺せ」という授業では使わない不適切な言葉を使うのはおかしい。教育現場にふさわしい言葉に変えていく〉

 アメリカから日本に野球が伝わったのは明治11年(1871年)。東京大学の前身、開成学校(開成高校ではなく、現在の東京大学)のアメリカ人教師H・ウイルソンが生徒に指導したのが最初といわれる。
 明治17年、東京大学予備門(現・東京大学教養学部)に入学した俳句の神様、正岡子規も野球にのめり込んだ。
 正岡子規は自身の随筆「松蘿玉液(しょうらぎょくえき)」「筆まかせ」の中で、野球について「趣向は複雑でも、攻め手と防ぎ手と弾丸をめぐって応酬、擒にし、はさみ夾み撃しなど、これほど愉快にみちた戦争はほかにない」などと評し、野球用語を次々と日本語に翻訳していった。

 正岡子規は上記のように、野球というスポーツを「戦争」にたとえ「兵士を家に帰す競技」と捉えていた。だから出塁した選手が本塁(ホームベース)に戻ってくることを「生還」と訳し、アウトをあえて「死」と訳した。
 ほかにも訳した用語には、打者(バッター)、走者(ランナー)、飛球(フライ)、直球(ストレート)、四球(フォアボール)、 死球(デッドボール)がある。

参加校も野球部員も減り続けている現状

 名将たる野村克也氏や上田利治氏の愛読書でもあった司馬遼太郎の「坂の上の雲」でもわかるように、正岡子規が東京大学予備門に入学した当時、日本は明治維新後に近代化の一途をたどると同時に、欧米列強の脅威にさらされていた。
 アメリカ人教師から野球を教えてもらう牧歌的景色の裏で、ロシアの武力侵攻が迫っているという時代に野球用語を翻訳している。
 教育者の集まりを自負する宮城県高野連が、文人として唯一、野球殿堂入りしている正岡子規の著作も近代史も知らない無学を晒すとはビックリだ。

 全国高校野球選手権大会の参加校は全国で3363校と、昨年比で33校減少。参加選手数は未発表だが、今春の時点で男女マネージャーを含む野球部員数は約12万4000人と、昨年比1200人減だった。女子マネージャーが増えているのに部員数が減っているので、選手自体は2000人以上の減少と見込まれる。これで12年連続の減少だ。

 サッカーW杯が盛り上がる最中に「教育現場にふさわしい言葉狩りをする」と言わんばかりの高野連のセンスのなさ。日本サッカー協会(JFA)は元選手に早期指導者転身を奨励しており、若手選手にJFAの指導者ライセンス取得を促している。
 おかげで少年サッカー指導者は若年化しているが、少年野球や高校野球の指導者は世代交代が進まないまま。それどころか、広陵高校で起きた下級生への暴力事件や、日大三校の集団性加害事件を隠蔽する、惨憺たる現状だ。

 たとえドジャース・大谷翔平が全国の小学校にバットとグローブを贈っても。ベンチがアホだから子供の野球離れは止まらない。

(那須優子)

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