社会
Posted on 2026年07月09日 11:15

自転車女性は全治2週間「サッカー・三笘薫の交通事故現場」は全国人身事故ワースト1位「魔の交差点」一帯だった

2026年07月09日 11:15

 開催中のサッカーW杯には直前のケガのため出場できなかった三笘薫が7月8日、東京都内の交差点で人身事故を起こしたと、所属事務所の「Athlete Solution」が発表した。
 三笘は午前8時45分頃、東京都北区のナショナルトレーニングセンター近くの交差点(事故現場は板橋区清水町)を車で走行中、40代女性が乗る自転車と接触する事故を起こした。女性は医療機関を受診し、左手に負った捻挫が全治2週間と診断されたという。三笘にケガはなかった。

 歩行者用信号が青に変わったところで三笘が車を発進したが、実は車専用の信号はこれとは連動せず、赤信号のままだった。同じ進行でも車専用(自転車を含む)の信号と歩行者専用の信号は別の「歩車分離式」になっている。三笘は事故について
「歩行者用の青信号に気を取られた」
 と供述してるそうだが、ドライバーが左折待ちの際に歩行者や自転車に気を取られていると、車専用の信号機を見落とし、同方向の歩行者用の信号が青だから車も左折できると勘違いしかねない仕様になっている。

「三笘が赤信号を無視した」という報道は確かにその通りだが、少し割り引いて見る必要があるかもしれない。
 というのも、上記のややこしい「歩車分離式」信号のせいか、三笘が事故を起こした交差点一帯は、一般社団法人日本損害保険協会が毎年公開している「全国交通事故多発交差点マップ」全国ワースト1位の「魔の交差点」だからだ。

 全国交通事故多発交差点マップは、同協会が各都道府県の警察から提供を受けたデータをもとに作成しており、その年の人身事故件数が多い順にワーストランキングが作成される。このランキングで2016年、2017年、2022年に全国で最も人身事故が多かったワースト1位の交差点が「三笘の事故現場」近くにある。

 なぜこの一帯が全国ワースト1位なのか。現場を説明すると、国道17号線と環状7号線が立体交差ではなく平面交差する上に、その上を首都高5号池袋線が通っている。頭上を首都高が走っているため、朝でも薄暗く、首都高の支柱が車道の視界を遮り、特に右折時には歩行者や自転車が支柱の死角になる。

国土交通省と東京国道事務所は何の改善もせずに放置

 加えて首都高の出入り口が近く、減速車線が短いため、スピードを落としきれない状態で交差点に突っ込むことになる。
 さらに裏道と商店街が17号、環七と並走しており、裏道から出てきた車や自転車、歩行者が出会い頭に接触する事故は多い。三笘が事故を起こしたのは、この裏道だった。

 交差点の四方には都営三田線の板橋本町駅の出入り口があり、銀行やスーパー、病院が密集。前述した通り、商店街も並走しているから昼夜を問わず、自転車と通行人が行き交っている。
 交差点周辺は国道17号も環七も片側3車線なので、足の悪い老人は横断歩道を渡りきれず、往復6車線の平面交差に加えて車道の右折レーン、左折レーンにも歩行者、自転車用の横断歩道がかかっている。さらに事故を招きやすいのが、この一帯の交差点の信号がトリッキーであること。それが冒頭で説明した「歩車分離式」だ。

 日々の行動にコンプライアンスが求められる三笘らサッカー日本代表選手、五輪競技選手はできればこの一帯を避けて通りたいだろうが、ナショナルトレーニングセンターに行くには、この「魔の交差点」は避けられない。今回、たまたま人身事故を起こしたのが三笘だったが、いつかアスリートが巻き込まれる人身事故が起きるのでは…。

 2016年以降、何度も全国人身事故ワースト1位になっていながら、国道17号を管理する国土交通省と東京国道事務所はわかりにくい信号機の運用も、歩道の改善もしないまま放置してきた。オールドメディアは三笘を「信号無視」と非難する前に、国の怠慢を非難するのが仕事ではないのだろうか。

(那須優子)

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