政治
Posted on 2026年08月17日 06:30

【世界の「最凶独裁者」列伝】「コバンザメ型強権政治」でベラルーシを32年支配する「プーチンの子分」

2026年08月17日 06:30

 1994年に大統領に就任以降、大国ロシアの威光を笠に着て君臨し続けるのが、「ヨーロッパ最後の独裁者」と称される、ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコだ。

 ベラルーシ北部で生まれたルカシェンコは大学卒業後に農業を学び、1987年に国営農場長に抜擢。旧ソ連でペレストロイカ(改革)の動きが盛んになる中、政治家を志し、ソ連崩壊から独立後の1994年に大統領選で当選した。
 その際、自国単独では経済的に立ちゆかないと踏んだこの男が選択したのは、ロシアべったりの政策だった。

 とにかく西側諸国が大嫌い。1998年には首都ミンスクから西側諸国の大使、公使を一時的に全て追い出したが、ロシアのプーチン大統領とは西側憎しという共通意識があり、プーチンの子分として大国に寄生するコバンザメ政権を維持し続けてきた。

 ベラルーシは現在に至るまで、石油や天然ガスなどの資源をほぼロシアからの輸入に頼っている。したがってプーチンは、ルカシェンコにとって文字通り親分的存在。ところがそんな親分に、ルカシェンコが大きな恩を売った事件がある。2023年6月に勃発した「プリゴジンの乱」だ。

 ロシアの民間軍事会社「ワグネル」の創設者エフゲニー・プリゴジン氏が武装蜂起し、モスクワへ進軍。混乱のさなかでロシア政府がお手上げ状態となる中、水面下で動いたのがルカシェンコだった。
 興奮状態にあったプリゴジンを、幾度も電話で説得。流血の惨事を寸前で回避し「ワグネルのベラルーシ移転と安全の保障」という条件を飲ませて反乱を収束へと導いた。

 しかし、窮地の中で格下の男にメンツを丸潰しにされたプーチンが、黙って指をくわえているはずはなかった。数カ月後、プリゴジン氏が乗る飛行機が不可解な爆発事故を起こし、非業の死を遂げることになる。冷酷な報復劇を目の当たりにしたルカシェンコは、震え上がったことだろう。

ゼレンスキー大統領に威嚇されると途端に低姿勢に

 そんなルカシェンコは2025年1月の大統領選で勝利し、7選が確定。任期は2030年までの5年間で、仮に満期まで君臨すれば、1994年からなんと36年にも及ぶ長期支配体制が実現することになる。

 ただ、近年はウクライナから「ルカシェンコがどこにいるか知っている」「500の標的を把握している」といった威嚇を受けるや否や、ゼレンスキー大統領に対し、「私の言葉で傷ついたのであれば謝罪する」と公の場で低姿勢を見せる。かつての絶対的強権ぶりに翳りが見え始めている、との報道があるのはそのためだ。

 ロシア軍は2022年の全面侵攻時、ベラルーシ領内を経由してウクライナの首都キーウ方面へ進軍。現在もベラルーシ国内にはロシアの戦術核兵器が配備されているといわれる。
 ロシアの影に隠れ、露骨にすり寄り、時には裏で巧みに立ち回ってきたルカシェンコ。そんな打算で塗り固められた「コバンザメ型独裁政権」がどこまで延命するか、西側諸国は注視している。

(山川敦司)

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