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佐々木にとって「とんねるず」は、思い入れのある存在だった。
「ザ・ドリフターズ、『THE MANZAI』『オレたちひょうきん族』などテレビの人気お笑い番組はすべて見てきて、たまたま『TVジョッキー』(日本テレビ系)で、とんねるずになる前の素人だった貴明さんと憲武さんが、それぞれピンでモノマネを披露したのを偶然見て、『この人たちおもしろいな!』と思ったのが最初です。ネタが身近で『男子中高生が部室でワイワイ騒いでるノリ』をテレビでやってしまうのが新しかった」
佐々木はその後の2人の初コンビ「貴明&憲武」で出演したり、コンビ名を「とんねるず」に改めて10週勝ち抜いた「お笑いスター誕生‼」(日テレ系)、ラジオ「二酸化マンガンクラブ」(文化放送)、ドラマ「トライアングルブルー」(テレビ朝日系)など、「オールナイトフジ」や「夕やけニャンニャン」でブレイクする前からとんねるずに注目し、出演番組は欠かさずチェックしていた。
「ドリフや伝統的な漫才とまったく違う“とんねるずの笑い”にドハマりしました。“フリオチ”や伏線回収に縛られることなく、スタッフやカメラマンを引っ張り出したり、突然セットを破壊したり、楽屋でしゃべってることをそのままのノリでしゃべる“裏笑い”はとんねるずが作りましたよね。既存のスタイルを次々と壊していった革命児でした」
テレビ業界に入る前から好きだったとんねるずとの初めての仕事。業界歴では中堅どころになった佐々木にとっても、“とんねるずの仕事”は驚きの連続だったという。
「有名な話ですが、とんねるずの現場ではタレントとスタッフが同じ弁当を食べます。当時の大物タレントはスタッフとは別の比較的高級な弁当が多かったのですが、『なんでスタッフとタレントで差をつけるんだよ!』と貴明さんが一喝して以来、スタッフもタレントと同じ弁当なんです。『みなさん~』の現場はスタッフ全員、当たり前のように『今半』の高級すき焼き弁当が出ました(笑)」
ロケ現場でも“とんねるずのスタイル”が貫かれた。番組の人気コーナー「きたなシュラン」(見た目は汚いが美味い店。のちに「きたなトラン」に改称)でのことだ。
「まず、汚くて美味い店を探すのが大変で。ADが苦労して探しても『美味い店』の前に『店が汚いから選ばれた』と言われたら、店主は出演を渋りますよ(苦笑)。何とか説得して、いざロケになると今度は貴明さんが一切忖度しない。口に合わなければ『星1つ!』です(最高評価は星3つ)。スタッフの顔が青ざめて、現場の空気は凍りつくけど、貴明さんは平気な顔。ロケに協力してもらった店にとっては失礼な話かもしれないけど、それが率直な感想だし、逆に放送翌日から『星1つの店ってどんな味?』と客が殺到するのもわかってる。“ あの頃のとんねるず”だから成立した企画かもしれません。今、同じことをやれば『協力してもらってて失礼だ!』と批判殺到ですぐ終わっちゃうかも(苦笑)」
佐々木敦規(ささき・あつのり)1967年生まれ。演出家・映像ディレクター。フィルムデザインワークス取締役。「ビートたけしのお笑いウルトラクイズ!!」「とんねるずのみなさんのおかげでした」「IPPON GP」などのバラエティー、K-1やプロレスなど格闘技番組の演出を経て、ももクロのステージ演出を手掛ける。
取材・構成/茂田浩司(ライター&編集者)
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