スポーツ
Posted on 2012年05月30日 10:59

北島康介「29歳の進化」 「ライバルの前で記録を出しプレッシャーで潰す」(2)

2012年05月30日 10:59

アテネでピークを迎えるために

 04年アテネ五輪での金メダル獲得。それを実現するためにと平井はスケジュールを立てた。福岡で開催される01年世界選手権でメダルを獲得し、02年には世界記録を出させる。そして03年世界選手権で頂点に立ち、優位な立場で五輪を迎えようと──。
 平井は北島の選手としてのピークを00年シドニー五輪ではなく、21歳で迎える04年アテネ五輪だと考えていた。だからこそ小さくまとまった泳ぎにしたくないと、細かい技術の追求は後回しにしていたのだ。
 ウエイトトレーニングで体を作り、練習量を増やして泳ぎの改良をして磨いていけば、さらに力を伸ばせるという自信はあった。
 その第一弾となったのが、01年7月の世界選手権だった。狙ったのは100メートルだった。予選で1分00秒95の日本記録をマークした北島は、準決勝では1分00秒61にまで記録を伸ばした。トップ通過は59秒94の世界新で泳いだスロードノフだが、北島の記録は全体の3番目。メダルへ王手をかけた。だが決勝ではタイムを落とし、またしても4位だった。
 準決勝と同じ記録なら銅メダルに届いていた。アメリカのコーチから「3レースの全てを1分00秒台で泳いだのは優勝したスロードノフと北島だけ。よかったじゃないか」と声をかけられたが、うれしくも何ともなかった。
「1年前よりタイムは上がっていても、肝心なところで結果を出せないのは、何も変わってないことじゃないか」
 と思い、北島はへこんだ。
 平井もショックだったが諦めなかった。大会前の練習では大きな泳ぎを身につけさせるため、北島に200メートルをベースにした練習をさせていた。本人は100メートルが得意だと思っているかもしれないが、200メートルのほうがチャンスが大きいのではないかと考えた。
「200メートルは絶対にメダルを獲ろう!」
 と北島にハッパをかけて臨んだ200メートル。準決勝では自己記録を大幅に更新し、2番目のタイムで決勝へ進んだ。そして決勝で北島は、「ストローク数を少なくして、大きく伸びる泳ぎをしろ」という平井の指示を忠実に守り、2分11秒21の日本記録で3位になった。
「どうしても欲しいメダルだった。シドニーからずっと胸につっかえていた感情が、このメダルで溶けた気がする」
 と北島は喜んだ。
 そして、さらにパワーアップした02年には、肩と肘を痛めて8月のパンパシフィック選手権は100メートルで圧勝したあとの200メートルは棄権したが、10月のアジア大会200メートルでは、92年以来10年間破られていなかったバローマン(アメリカ)の記録を0秒19更新。世界で初めて2分10秒の壁を突破する2分09秒97の世界記録を樹立したのだ。

全文を読む
カテゴリー:
タグ:
関連記事
SPECIAL
  • アサ芸チョイス

  • アサ芸チョイス
    スポーツ
    2026年09月13日 11:15

    近年のネット環境の充実によって、高い売り上げを誇る公営ギャンブル。メディアを下支えする団体としても大きな役割を担っているが、最近は風向きが変わり始めている。ギャンブルライターが現状を語る。「日本の公営ギャンブルは競馬(中央・地方)、競輪、ボ...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    社会
    2026年09月14日 11:30

    AIは本当に人類を終わらせるのか。専門家のとある主張が世界を震撼させている。その「AI終末論」は、AI開発企業アンソロピックに勤めていた元研究員、ジェイコブ・コクソン氏によるもの。Xで「AI研究関係者の多くが、AIは今後10年以内に人類を破...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    タグ:
    芸能
    2026年09月14日 13:30

    8カ月ぶりに帰ってきたバス旅で最も存在感を放ったのは、看板を背負う太川陽介ではなかった。「路線バスで鬼ごっこ~太川陽介から逃げ切れ~【茨城・水戸】」(テレビ東京系)が、9月12日午後6時30分から放送された。鬼チームは太川陽介、草薙航基、村...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    注目キーワード

    人気記事

    1. 1
    2. 2
    3. 3
    4. 4
    5. 5
    6. 6
    7. 7
    8. 8
    9. 9
    10. 10
    最新号 / アサヒ芸能関連リンク
    アサヒ芸能カバー画像
    週刊アサヒ芸能
    2026/9/15発売
    ■650円(税込)
    アーカイブ
    アサ芸プラス twitterへリンク