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記事全文を読む→ツキノワグマ「山林の人喰い現場」を決死ルポ!(2)増加の理由はドングリの豊作
「ツキノワグマの激増」について、鹿角市役所農林課担当者が「実際の個体数を市が把握しているわけではない」としたうえで語る。
「市内でのツキノワグマの目撃数は、明らかに増えました。クマの活動が活発になる4、5月の目撃件数データを見ても、13年は10件、14年は11件、15年は3件だったのが、今年はもう35件になります」
増加の理由には、ドングリなどの餌が豊作だったことが考えられるという。
「県発表の過去データを見ても、豊作時はクマの目撃数が多い。数が増えると縄張争いも増えるので、山から出てくるクマが多くなったのだと思います。今年は子グマの目撃例が多かったので、去年から今年にかけてクマの出産ブームがあったのでは」(前出・鹿角市役所農林課担当者)
とはいえ、クマは非常に臆病な動物だと言われる。鈴やラジオなど音が鳴るものを持っていけば、クマよけになるのはそのためだ。なぜ次々に人が襲われたのか、ツキノワグマの生態に詳しい岩手大学名誉教授の青井俊樹氏が指摘する。
「実は一般的により凶暴なイメージのヒグマのほうが、人間を避ける傾向が強い。全てがそうだとは言いませんが、ツキノワグマの中には人間に対してアグレッシブなやつがたまにいるんです。今回の場合は、最初に出会い頭でクマがパニックを起こし犠牲者を殺した結果、『人間は恐るるに足りない』と学習し、どんどんエスカレートしていった可能性があると思います」
今回の人喰いグマは体長約1.3メートル、5~6歳の雌の成体。意外に小さく感じるが、サイズなどものともしない危険性について、実際にツキノワグマに襲われた経験のある2人の証言を得た。1人は前述の三毛別羆事件をモデルにした小説「シャトゥーン ヒグマの森」(宝島社)でデビューした作家・増田俊也氏である。
増田氏が小学生の頃、家の近くに2匹のツキノワグマを飼っている家があった。増田氏はオリの中の子グマと木の枝で綱引きをするような格好で遊んでいた。すると、
「突然、枝がクマに引き込まれ、オリのへりに僕の足がかかったんです。次の瞬間、オリの中から両手で足をつかまれ、甲にブスッと爪を突き立てられました」
スニーカーの上から刺さった爪は貫通はせず、骨に当たって止まった。
「全身に伝わる骨と爪がきしむギシッという音が今でも忘れられません。そのままものすごい力で足を引き込まれそうになったんですが、もう1頭がそのクマにじゃれついてきて、足から手を放して一緒に遊び始めた。50年生きて『死ぬ!』と思ったのはその時だけでしたね」
もう1人の証言者は、県西部の南秋田郡井川町に住む佐藤幸桜(さちお)氏だ。中学時代に柔道を学び、高校時代にはレスリングで国体5位の成績を残した佐藤氏は、44歳だった99年、農作業中にツキノワグマに襲われた。
「田んぼの中で背中に妙な気配を感じで振り向いたら両前足を振りかぶったクマがいだんです。うまい具合にとっさにすくい投げのような形で投げることができたんだけど、それで逃げてくれずにもう一回左前足を振り上げて襲ってきだ」
佐藤氏は左手でクマの左頬あたりを押さえ、右手で左前足をぐっとつかむ。押しては引くの力比べになったという。
「ものすごい力でした。3分ほどそのまんまでいだらクマが田んぼの泥でズルッと転んだんです。そこで後ろを向いて反対方向へゆっぐり逃げて行ぎました。その日の夜は冷や汗が出で眠れながったです。今でも鮮明に思い出せるほど怖がった。二度と出くわすのはごめんしてもらいたいです」
格闘技の心得がある男盛りの男性ですら、九死に一生を得るほど、ツキノワグマの戦闘力は高い。
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