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Posted on 2012年07月18日 10:57

死んでも「アイツ」に勝ちたかった⑥ 田中一徳(元PL学園)(3)98年PL学園vs横浜高校 松坂大輔を追い詰めた延長17回の死闘! 

2012年07月18日 10:57

併殺になってもかまわない

 延長では先攻の横浜が1点をもぎ取り、PLがその裏に執念で同点に追いつくという展開が繰り返される死闘。7対6、横浜リードで迎えた16回裏だった。先頭打者でヒットを放った田中が“勝負”に出る。

 一死三塁の場面で、自分は冷静だったんですね。3番打者の本橋(伸一郎)さんが打席に立って、「絶対にゴロを転がしてくれ」と思い、グラウンド(下方)を指さしたんです。絶対に1点は入る。自分が走って、絶対に1点は入るからって。自分の頭の中でストーリーができていたんですね。打球が転がったら、本塁に突っ込むという‥‥。

 その次は4番・古畑さんだから、無理をしなくてもいい場面でした。PLは縦社会で先輩後輩の関係もしっかりしていて、僕は古畑さんの付き人だった。その古畑さんに任せなければいけない場面でしたが、9回裏のサヨナラ勝ちを狙える場面で、古畑さんは捕手からの牽制球でタッチアウトになっており、モチベーションが下がっていてもおかしくない状況です。だからヒットでしか1点入らない場面になるよりは「併殺になってもかまわない」って気持ちで、スタートを切りました。

 打球をピッチャーが捕っていたら行かなかったんですが、ショートが捕って、一塁に投げた。その瞬間に行きました。タイミング的にはアウトなんですが、本橋さんがファーストにヘッドスライディングするプレーがあそこで出た。

 田中の俊足は説明するまでもないだろう。本塁突入を決意した思いに応えるため、本橋も一塁ベースに頭から突っ込んだのだ。松坂の投球が尻上がりに本来の調子を取り戻していく状況下だった。灼熱の太陽も連投も関係なく、威力を増していったのだ。にもかかわらず、一塁手に不十分な本塁送球をさせて「7対7」の同点に追いついたのは、まさにPLの執念だった。

 だが、その直後の17回表、PLナインに2アウトからエラーが出たのである。二死一塁、途中出場の常盤良太が打席に入った。

 ホームラン。真っ白になりましたね。2点は10点くらい取られた感覚でしたね。1点だと何とかなると思える。でも、2点取られて凄く重く感じられ、17回裏の攻撃は三者凡退に終わりました。そういう時の松坂さんって、マウンドで躍動しているんですよ。気持ちも入るし、その気持ちに押されてしまいました。

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