社会

秋津壽男“どっち?”の健康学「ガンになったら民間療法を頼るべきか?初期と進行ガンでは考え方がまったく違う」

20161201m

「ガンになってしまいました。民間療法に頼るべきでしょうか」──ある患者さんが、悲壮な顔でこんな問いかけをしてきました。

 ガンと宣告されて民間療法に頼る人は少なくありません。インターネットを見ると、さまざまなガン治療の体験記が読めます。「ガンが治った!」というページもあれば、「民間療法は効果がない」とするページも出てきますが、一つだけ言えるのは「早期ガンと進行ガンで違ってくる」ことです。

 早期ガンの場合、手術をすればほぼ確実に治ります。早期胃ガンの手術後、医者から「あなたは化学療法も放射線治療もいりません」と言われたら治っていると考えてください。薬はもちろん、民間療法も必要がありません。

 逆に進行ガンや末期ガンで「手術したけど取り切れなかった」「手術はできません」と言われた場合、残念ですが医者に行く必要性はないと言えます。

 進行ガン、末期ガンは現代医療が事実上ギブアップしており、現在のところ、治る手だてがありません。つまり末期ガンの場合、民間療法でも新興療法にでも、救いを求めるのは当然であり、しかたないことです。極端な話、他人のおしっこを飲んで治ると信じられるなら、私には否定できません。

 ただし、民間療法には「選別法」があります。

 ガンに限った話ではありませんが、民間療法に頼る場合、「10年や20年続いているもの」なら信用度も高く、試す価値はあります。一方、1年や2年のものは「新興療法」で、価値を見いだす基準もなく、信用度という点で劣ります。

 この違いは「事件や訴訟」にあります。民間療法の中で長く生き残っているものには、ほとんど事件や訴訟が起きていません。効果のあるなしははっきりしませんが、少なくとも害はないと言えます。逆に1年たっていない療法には、事件や訴訟のリスクがあります。

 具体的に言えば、ココナッツオイルなどは民間療法のステージにありませんが、くこ茶やびわの葉茶、プロポリス、アガリクスなどは民間療法として認知されています。ビタミンAを取りすぎると肝臓ガンになるのと同様に、ココナッツオイルで肝臓ガンになったという例が10年後に出ないとも限りません。ですので、「長く続いている民間療法は試す価値がある」という前提を、頭に入れてください。

 早期ガンの治療後、健康を取り戻したにもかかわらず、民間療法で予防する人も大勢いますが、現在のところ、民間療法にそこまでの力があるとはわかっていません。

 お金があればやってもいいというレベルにすぎず、私は患者さんに「お金を出すほどの治療法じゃない」と言ってます。

 例えば「プロポリス1カ月10万円」などは、はっきり言えば「人の足元を見た、えげつない商売」です。末期ガンなら止めませんが、早期ガンでやる必要はありません。

 また、いちばんやってはいけないことは「手術をすれば治る」早期ガンであるにもかかわらず、手術を拒否して民間療法に頼ってしまうことです。

 惜しまれつつ50代で亡くなった女優さんは、残念ながらこの選択をしてしまいました。

 手術で100%治るものを拒否するのは、絶対にやってはならないと覚えておいてください。

 治る病気は中途半端な治療をしないこと。逆に医者がさじを投げた病気は、現代医療では治りません。ワラにすがるつもりで、いろいろと試してみるしかないのです。

■プロフィール 秋津壽男(あきつ・としお) 1954年和歌山県生まれ。大阪大学工学部を卒業後、再び大学受験をして和歌山県立医科大学医学部に入学。卒業後、循環器内科に入局し、心臓カテーテル、ドップラー心エコーなどを学ぶ。その後、品川区戸越に秋津医院を開業。

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