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記事全文を読む→今なお“家庭内亀裂”に悩む被災者(1)仮説住宅での暮らしで家族の絆がボロボロに
東京五輪招致決定のニュースを家族とともに聞けただけでも幸せかもしれない。今なお、仮設住宅などで避難生活を余儀なくされている人々、21万5000人の中には、深刻な「家庭内亀裂」に悩む被災者が多い。7年後の五輪を楽しみにする余裕などないのだ。
青森県八戸市は注目こそされないが、被災地の一つである。確かに、宮城県や岩手県と比較すれば被害は少なかった。しかし沿岸部の工業地帯と、そこに連なる住宅地を津波が襲った。
住宅の全壊は254戸を数えた。八戸市に住む40代の男性会社員A氏も自宅を失った一人だ。
「津波で自宅は基礎を残してきれいさっぱり流されました。当初は、借り上げ仮設となったアパートに、妻と年老いた両親の4人で居住していました。両親はアパートに入ってから『こんな狭いところではなく、早く元どおり一軒家に住みたい』とボヤいていました。私は両親に『何とかすっから』と言い続けていました」
子供はすでに独立し、夫婦共働き。A氏の一家にはそれなりの蓄えがあった。程なく、仮設アパートからの脱出を果たした。
「1年もしないで、内陸の中古の一軒家が見つかり、購入したんです。元の家よりは狭くなりますが、両親も喜んでくれるだろうと思い、報告したのですが、父親には『何の相談もなく勝手なことをして』とどなり散らされました」(A氏)
両親が望んでいたのは、元の自宅の場所に新たな一軒家を建てること。A氏夫妻は津波が来ない場所に住みたい。新居で両親と同居を始めたA氏だったが、その世代間のギャップは埋められなかった。
「新居に住み始めて間もなく、トイレの不具合が見つかると、両親から『お前らがどうしようもない家を買ったからだ』と責められました。私もカッとなって言い返しましたが、これがさらに逆効果でした。この日以来、両親とは同じ家の中で食事も別という生活になりました。夜中や早朝に両親が目を覚ますと、私たちとの寝室の境の壁を叩きながら『お前たちはウソつきだ!』と罵るようになったんです」(A氏)
震災から2年半が経過して、さすがに両親から罵られる機会は減った。いや、A氏は話す機会すら失ったというのだ。
「震災以降、絆という言葉が盛んに語られていますが、ウチは肝心の家庭内の絆がボロボロになりました。7年後の東京五輪の頃には、両親は亡くなっているかもしれない。何とか関係を修復したいのですけどね‥‥」(A氏)
岩手県宮古市にも「家庭内亀裂」に悩む被災者がいる。50代の自営業の男性B氏だ。死者517人(死亡認定者含む)、全壊した住宅は5968戸という甚大な被害を受けた宮古市。B氏の自宅もその後、大規模半壊とされる被害にあった。
「震災翌日に、自宅に戻ると、めちゃくちゃな状況に、やり場のない怒りと何から始めればいいのかわからない戸惑いが入り交じり、精神的には常軌を逸した状態になっていました。とりあえず足元にあるものから片づけに取りかかったのですが、同居していた母が『私も手伝う』と言いだした。でも、母は高齢で足が悪い。気持ちはわかるが半分ありがた迷惑でした。母には『ばーちゃんはそっち座ってて!』とややきつく言ってしまい、これがよくなかった‥‥」(B氏)
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