社会

「自然災害」の猛威に負けない47都道府県ランキング(2)土砂災害を助長する火山灰

 相次いで接近・上陸する台風や常態化する集中豪雨にも防災対策が求められる中、総合ランキング5位・富山、6位・長崎、9位・石川、11位・山梨、27位・群馬、33位・長野は他県と同じような回数の災害に見舞われていても、人的被害(死者、行方不明者など)や物的被害(全壊、床上浸水など)はそれぞれ50件以下と毎回少なく、風水害に強い数字が表れた。一方、豪雨の影響をモロに受けるのは土砂災害だろう。

「西日本豪雨で土石流が発生した広島の現場は、『まさ土』という砂状の土壌で、大量に雨水を含んで軟らかくなり、土砂崩れを起こしました。土砂災害を防止する砂防ダムもありましたが、想定以上の土砂が流入して決壊。必ずしも安全ではないことを証明した形になったのです」(渡辺氏)

 火山灰が積もって地層が作られた地域も土砂災害が起こりやすいという。総合最下位に選ばれた鹿児島は、火山灰でできた「シラス台地」が原因で、ほぼ毎年のように2ケタの土砂災害発生件数を記録していた。

「神奈川は山梨、静岡と接し、富士山の火山灰の影響を受けるため、上位に入ったのでしょう。地質がよくないのに山や坂など傾斜が厳しいところに住宅開発をしているので、危険性は高まっています」(渡辺氏)

 ところで、ドカ雪の被害は北国だけとは限らないようだ。雪害件数で北海道を上回って1位になったのは群馬。その理由は、14年の記録的な大雪だろう。その年だけで計3673件の住家被害を出し、南牧村は孤立状態になるほどだった。

「雪を想定した街づくりをしていなかったので、被害を拡大させました。除雪した雪を置くスペースが道路上にないから積もるばかりで、交通機能はマヒ。建物も積雪荷重を考えて構造計算していないので、雪の重さに耐えられず損壊してしまった。東京も今年1月に20センチを超えた雪で首都高が通行止めになり、入場規制が出るほど駅は人であふれ、弱さを露呈しています。『たまたまその年に降っただけ』という、ひと言で片づけるのは、また大きな被害につながりかねない」(渡辺氏)

 最後は、今夏に157人もの死者(9月2日現在)を出した熱中症の恐怖だ。トップ3には東京、大阪、愛知という大都市が並んだ。

「記録的猛暑に加えて、ヒートアイランド現象で地方とは比較にならないくらい地表の温度が高くなっています。東京はお台場周辺に構造建築物を造ったので風通しは悪いし、コンクリートの中に熱をため込んでいるから、夜になっても全然気温が下がらない悪循環を起こしている。2年後には地獄の東京五輪が待っていて、熱中症の救急搬送件数は今年より大幅に増えることも十分に考えられます」(渡辺氏)

 日本列島に自然災害の脅威が増す中、都道府県ランキングが上位でも、下位でも、常に防災意識を高めておくことが大事だろう。

〈災害に強い都道府県ランキング〉

1位 滋賀/2位 佐賀/3位 香川/4位 徳島/5位 富山/6位 長崎/7位 福井/8位 鳥取/9位 石川/10位 高知/11位 山梨/12位 大阪/13位 青森/14位 三重/15位 奈良/16位 和歌山/17位 秋田/18位 愛媛/19位 島根/20位 愛知/21位 岡山/22位 山口/23位 宮崎/24位 沖縄/25位 宮城/26位 大分/27位 群馬/28位 広島/29位 福岡/30位 山形/31位 岐阜/32位 岩手/33位 長野/34位 栃木/35位 埼玉/36位 静岡/37位 京都/38位 東京/39位 茨城/40位 熊本/41位 北海道/42位 福島/43位 兵庫/44位 千葉/45位 神奈川/46位 新潟/47位 鹿児島

※災害実態をもとに週刊アサヒ芸能が作成

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