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記事全文を読む→福島県水産試験場長が激白「放射能と汚染魚」(1)
原発事故により、大きな被害を受けた福島県の漁業。同県水産試験場の五十嵐敏場長(59)が放射性物質と戦い続けた2年間を激白した。
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東京電力が、福島第一原発の専用港で取れたアイナメから1キロ当たり51万ベクレルの放射性セシウムを検出したと明らかにしたのは2月28日のことだった。地元ではこうした高レベル汚染魚を「お化け」と呼んでいる。五十嵐場長が語る。
「原発の専用港の中は事故当初、桁外れに高い濃度の汚染水が流れ、高濃度の魚が存在するようになりました。51万ベクレルの魚は周りの漁場とは別世界のものです」
採取されたアイナメは、専用港から汚染魚が外に逃げないよう、入り口に仕掛けられた刺し網にかかったものだった。あの大惨事に遭遇し、福島の海を取り戻すためにどんな苦労があったのだろうか。
「放射線の調査に関わったことがなく、知識・経験がありませんでした。当初、文献を調べましたが、今回の事故と過去の事故では状況が違い、うのみにはできません。定説では魚を食べる魚=魚食性の魚は食物連鎖の上位なので濃度が高くなるはずでしたが、調査をすると感触が違いました。高濃度の汚染水が流れたところにいた魚が、高いレベルで汚染されたというのが事実でした」
まさに手探りの状態での調査から得た結果だが、その調査に至るまでは苦労の連続だったという。
「水産試験場には調査船が2隻あったのですが、主力の大型船が津波で沈没したのです。震災の起きた3月は、それどころではありませんでした。海の魚ばかりではなく、餌、海水などのデータを早い段階で取らなければならない。4月以降はそうしたことが頭の中にあるのに、手段がない状態が続いて、そこがいちばん苦しかったです」
救いの手は県外から伸びた。6月には東京海洋大学の石丸隆教授と接触し、7月に同大の海洋調査・練習船「海鷹丸」が調査をやってくれることになったのだ。一方で、当時の政府のサポートは薄いものだったという。
「検査の機械がなく、我々の水産物に与えられた検体の数というのは1週間に2~4検体でした。しかし、千葉県の日本分析センターに持って行ったところ、福井大学の西宗(敦史)先生が『測ります』とおっしゃってくれました。石丸先生のルートで放医研の青野さんという分析のスペシャリストも手伝ってくれるようになりました」
こうして調査と検査は続き、12年2月にはついに検査機が水産試験場に1台配備されるようになった。悪い数字が出てしまえば消費者の不安はぶり返し、再び復興の道は遠のいてしまう。再開を待ち望む漁業関係者からは「よけいなことを」という声も上がる状況だった。それでも五十嵐場長は調査・検査を続けた。
「福島の漁師の皆さんは、本当に我々に協力的です。安全な魚を消費者に送り届けるために命をかけていると言っていい。本当の安全が成立するためには、科学的なデータの裏付けがなければならない。魚だけの分析では私はダメだと考えています。魚の汚染は海水と餌だと言われていますが、一昨年9月くらいから海水を汚染させる外的要因はなくなっている。私は餌が一つのキーだと思っていて、今はその分析もやっています」
こうした努力は少しずつ結実し、相馬双葉漁協では試験操業が行われ、一部が流通されるようにまでなった。五十嵐場長に今後の課題を語ってもらった。
「今の状態だと、出荷規制がかかっている魚が41種あります。今は試験操業を13魚種までやっていますが、安全な魚種というのは、もっとおりますので拡大していくという考え方でいます。しかし、福島産のものが流通しても消費者が買ってくれなければ漁業は復興しません。試験操業の拡大と継続的なモニタリングが課題ですね」
五十嵐場長は、みずから県内外の消費者セミナーに出向き、安全性を説明しているという。地元が復興に全力で向かう中、国や汚染の主犯である東電は何をしているのだろうか──。
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