芸能
Posted on 2020年11月02日 17:57

黄金の“ミリオンセラー歌姫”を総直撃<ジュディ・オング「魅せられて」>天才作曲家・筒美京平が最も愛した渾身作

2020年11月02日 17:57

 孔雀の羽根のようなドレスを広げて歌うジュディ・オング(70)の「魅せられて」は、79年のレコード大賞を獲得した。作曲だけでなく編曲も買って出たのは、10月7日に亡くなったヒットメーカー、筒美京平氏だった。

──作曲したシングル総売り上げが日本一の約7500万枚という筒美京平作品にあって、トップに立つのが123万枚の「魅せられて」(79年)です。

ジュディ そうなんですね。あれほどたくさんのヒット曲をお持ちなのに。

──訃報を伝えるニュースでは、恐らく何百回も「魅せられて」の歌唱映像が使われたと思います。

ジュディ 今でも胸が締めつけられる思いがして、テレビのニュースはほとんど見ていないんですよ。まだ訃報のショックから立ち直れていませんね‥‥。

──おつきあいは長かったんですか?

ジュディ 私が18歳の時から曲を書いていただいてます。とても優しくて、そしてピアノがお上手で、私にはアルト(低い声域)がいいとおっしゃって曲にも生かしていただきました。

──あの「魅せられて」もですか?

ジュディ そうです。歌い出しの「南に向いてる窓をあけ~」は、順に低くなっていく珍しい構成です。

──なるほど。そもそもこの歌は、難産に次ぐ難産だったそうですね。

ジュディ ワコールのCMソングだったんですが、私は芸能界のキャリアがあるので、広告代理店の方が難色を示されたんです。それでもプロデューサーの酒井政利さんは私に歌わせたい。そこで採用されたのが「覆面歌手」という形で。

──CMで歌は流れても、誰なのか判明しないと。

ジュディ そうです、そのうちレコード屋さんに「あのワコールのCMの歌ある?」という方が殺到して。おかげさまで私の名前で発売後は、1日に10万枚単位で売れたそうです。

──阿木燿子の「好きな男の腕の中でも ちがう男の夢を見る」という刺激的な詞、羽根が舞うような華麗なドレス、そしてイントロから異国情緒漂うアレンジと、三位一体です。

ジュディ 作曲だけでなく、あのアレンジも筒美先生が「僕がやる」とおっしゃってくださって。あのあと、何度かセルフカバーもやりましたけど、どなたが編曲なさっても「♪チャチャチャチャチャチャ‥‥」の始まりからは逃れられないようです。

──そしてサビの「Wind is blowing~」と転換するフレーズ。

ジュディ あれを地声で歌うかファルセットにするか意見が分かれましたが、最終的に「ファルセットの二重録り」で広がりを持たせるようにしました。

──まさしく、エーゲ海そのもののきらめきでした。そしてこの歌を生かすために、歌番組の技術も飛躍的に向上したように思います。

ジュディ TBSの「ザ・ベストテン」ではパルテノン神殿をイメージした高さの階段から降りてきて、あまりの高さに歌い出しに間に合わなかったことも(笑)。フジの「夜のヒットスタジオ」では、クロマキーを使ってドレスにエーゲ海の景色をはめ込んだこともありました。

──歌番組史上に残る伝説ですね。まるで海の上に浮かんで歌っているように見えました。

ジュディ あまりにも波が高すぎて、テレビで見ていた私のスタッフが「ジュディさんが溺れる!」と焦ったようで(笑)。

──そして12月31日にレコード大賞を獲得。みごとに70年代そのものを締めくくった形です。

ジュディ 当時はまったくそんな意識はなかったけど、それが令和になっても愛される1曲で幸せなことです。

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