芸能
Posted on 2021年03月27日 09:57

あの素晴らしい〈フォークソング〉をもう一度<岸田敏志「きみの朝」>売れたきっかけは十朱幸代とのラブシーン

2021年03月27日 09:57

 ♪モーニンモーニン‥‥澄んだ歌声が日本中に響いたのは79年のこと。フォークシンガーがドラマに出演し、ヒット曲となるまでがシンクロする珍しいケースだった。岸田敏志(当時・智史)=67=が、貴重な体験を明かす。

──あの尾崎豊が曲作りや歌い方のお手本にしたことで知られています。

岸田 彼がデビュー前、僕の埼玉でのライブに来ていたんですね。終わって出待ちしている女性ファンをかき分けて「あの『蒼い旅』(デビュー曲)はどういう気持ちで作って、どういう気持ちで歌うんですか!」と聞いてくる。あとで尾崎君だと知るわけですが、スタッフの間でも、彼がデビューした時に「イキのいい若いのが出てきたな」と評判でした。

──ご自身のデビューは76年。郷ひろみや南沙織、山口百恵など数多くのアイドルを手掛けた酒井政利プロデューサーのスカウトだったとか。

岸田 カセットテープをたまたま耳にされて、住んでいた京都のアパートまで突然いらしたんです。それで僕に「シングルだけじゃなくアルバムを作りましょう」と言っていただいて。

──いい時代ですね。

岸田 幸い、デビュー曲は秋吉久美子さん主演の「パーマネント・ブルー 真夏の恋」(76年、松竹)の挿入歌となり、その後も映画やドラマの音楽に関わることが多くなって。

──転機になったのは、チャート1位になった「きみの朝」(79年)です。

岸田 TBSの柳井満プロデューサーが、新人歌手のサクセスストーリーをテーマにしたドラマを作ると。「はいはい、劇中の音楽ですね」と答えたら「いや、出演もしてほしい」と言われたんです。

──十朱幸代主演のドラマ「愛と喝采と」で新人歌手・武井吾郎役への抜擢ですね。

岸田 ドラマと現実が完全にシンクロしていました。ドラマは木曜夜10時ですが、その前に人気絶頂の「ザ・ベストテン」をやっていて、注目曲を紹介する「今週のスポットライト」に出たんです。その場面がドラマに使われ、社長役の十朱さんが「吾郎ちゃんが出てる!」とリアクションするところまで、そのままでした。

──実際、すごい勢いでチャートを駆け上がりましたね。そして作詞が、吉田拓郎の「旅の宿」や森進一の「襟裳岬」で知られる岡本おさみというのも意外な組み合わせで。

岸田 岡本さんも作詞家仲間に「英語の歌詞を使ってる」と驚かれたみたいです。実は、ドラマの脚本家の岡本克己さんがお兄さんで、その縁から作詞に決まっていました。

──小学生まで「モーニンモーニン」と歌っていましたね。

岸田 ドラマではあの歌をうまく歌えず、吾郎がレコーディングから逃げ出す場面があるんです。その感情をわからせるために、十朱さんが一度だけベッドをともにして‥‥。朝を迎えると、部屋が白く包まれて「モーニンモーニン」と歌が重なる。

──いい場面ですね。

岸田 あのドラマ自体が曲のプロモーションビデオみたいだと言われました(笑)。でも、ヒットしたのは確かに「チームの力」だったんでしょうね。その直後に始まった「3年B組金八先生」も、僕に主役のオファーがきたんですが、事務所はツアーのスケジュールをびっしり組んでいた。それで同じ事務所の武田鉄矢さんがやることになったんですよ。

──奇妙な巡り合わせですね。その後継となる「1年B組新八先生」(80年)では、晴れて教師役を演じて、さらに92年からは「ミス・サイゴン」など、ミュージカルでも活躍されています。

岸田 本田美奈子ちゃんと一緒だったんですが、僕も彼女もミュージカルの発声を教わるところから始まりました。最初の舞台は、稽古を入れたら2年半がかりで、そのことが今も血肉になっていますね。

全文を読む
カテゴリー:
タグ:
関連記事
SPECIAL
  • アサ芸チョイス

  • アサ芸チョイス
    社会
    2025年03月23日 05:55

    胃の調子が悪い─。食べすぎや飲みすぎ、ストレス、ウイルス感染など様々な原因が考えられるが、季節も大きく関係している。春は、朝から昼、昼から夜と1日の中の寒暖差が大きく変動するため胃腸の働きをコントロールしている自律神経のバランスが乱れやすく...

    記事全文を読む→
    社会
    2025年05月18日 05:55

    気候の変化が激しいこの時期は、「めまい」を発症しやすくなる。寒暖差だけでなく新年度で環境が変わったことにより、ストレスが増して、自律神経のバランスが乱れ、血管が収縮し、脳の血流が悪くなり、めまいを生じてしまうのだ。めまいは「目の前の景色がぐ...

    記事全文を読む→
    社会
    2025年05月25日 05:55

    急激な気温上昇で体がだるい、何となく気持ちが落ち込む─。もしかしたら「夏ウツ」かもしれない。ウツは季節を問わず1年を通して発症する。冬や春に発症する場合、過眠や過食を伴うことが多いが、夏ウツは不眠や食欲減退が現れることが特徴だ。加えて、不安...

    記事全文を読む→
    注目キーワード
    最新号 / アサヒ芸能関連リンク
    アサヒ芸能カバー画像
    週刊アサヒ芸能
    2025/7/22発売
    ■620円(税込)
    アーカイブ
    アサ芸プラス twitterへリンク