社会

医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<ICL(眼内コンタクトレンズ)>眼の中にレンズを近視・乱視の新治療とは?

 近視や乱視など、視力低下に悩まされている人は多い。そんな人に便利なのが最新の視力矯正法「ICL(眼内コンタクトレンズ)。ソフトコンタクトレンズのような柔らかい素材の眼内レンズを目の中に入れることで、目の屈折力(光を屈折させる力)を変えて視力を矯正する方法だ。

 研究開発は1970年代から行われていたが、1997年に欧州でCEマークを取得後、日本では2010年に厚生労働省認可された。

 この治療のメリットは、コンタクトレンズと違い、眼内にレンズを入れるために異物感がなく、出し入れの必要がない点にある。さらに、角膜を削る「レーシック手術」は、数年すると視力が以前の状態に戻ってしまう可能性が指摘されているが、「ICL」は近視の戻りが少ないと報告されている。

 また「レーシック手術」と違い、「ICL」は、眼内のレンズで視力矯正するため、万が一合わなくても眼内レンズを取り出せば元の状態に戻せるし、角膜を削らないため、光のちらつきやドライアイに悩まされることも少ない。白内障などになった場合も、レンズを取り出せば、治療に影響が出ないのも安心だ。

 非常に便利な矯正法に思えるが、すべての人に適しているわけではない。未成年や白内障発症のリスクがある45歳以上にはNG。また、眼の虹彩(眼球の色が付いている部分。光の量を調整する)と虹彩の後ろにある水晶体の間の狭い部分にレンズを入れるため、この距離が浅い人には使うのが難しい。

 さらに、自由診療のため、片眼でも約30万~40万円と、高額であることもやっかいな点だろう。

 この矯正手術は20~30分で終わり、日帰りも可能。ただし受診の際は、丁寧な検査、手術実績が多数ある医師や施設を慎重に選んでほしい。

田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。

カテゴリー: 社会   タグ: , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    ゲームのアイテムが現実になった!? 疲労と戦うガチなビジネスマンの救世主「バイオエリクサーV3」とは?

    Sponsored

    「働き方改革」という言葉もだいぶ浸透してきた昨今だが、人手不足は一向に解消されないのが現状だ。若手をはじめ現役世代のビジネスパーソンの疲労は溜まる一方。事実、「日本の疲労状況」に関する全国10万人規模の調査では、2017年に37.4%だった…

    カテゴリー: 特集|タグ: , , , |

    藤井聡太の年間獲得賞金「1憶8000万円」は安すぎる?チェス世界チャンピオンと比べると…

    日本将棋連盟が2月5日、2023年の年間獲得賞金・対局料上位10棋士を発表。藤井聡太八冠が1億8634万円を獲得し、2年連続で1位となった。2位は渡辺明九段の4562万円、3位は永瀬拓矢九段の3509万円だった。史上最年少で前人未到の八大タ…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , |

    因縁の「王将戦」でひふみんと羽生善治の仇を取った藤井聡太の清々しい偉業

    藤井聡太八冠が東京都立川市で行われた「第73期ALSOK杯王将戦七番勝負」第4局を制し、4連勝で王将戦3連覇を果たした。これで藤井王将はプロ棋士になってから出場したタイトル戦の無敗神話を更新。大山康晴十五世名人が1963年から1966年に残…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , , , |

注目キーワード

人気記事

1
「メジャーでは通用しない」藤浪晋太郎に日本ハム・新庄剛志監督「獲得に虎視眈々」
2
不調の阪神タイガースにのしかかる「4人のFA選手」移籍流出問題!大山悠輔が「関西の水が合わない」
3
2軍暮らしに急展開!楽天・田中将大⇔中日・ビシエド「電撃トレード再燃」の舞台裏
4
新庄監督の「狙い」はココに!1軍昇格の日本ハム・清宮幸太郎は「巨人・オコエ瑠偉」になれるか
5
【鉄道】新型車両導入に「嫌な予感しかしない」東武野田線が冷遇される「不穏な未来」