社会
Posted on 2021年09月06日 05:55

医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<ICL(眼内コンタクトレンズ)>眼の中にレンズを近視・乱視の新治療とは?

2021年09月06日 05:55

 近視や乱視など、視力低下に悩まされている人は多い。そんな人に便利なのが最新の視力矯正法「ICL(眼内コンタクトレンズ)。ソフトコンタクトレンズのような柔らかい素材の眼内レンズを目の中に入れることで、目の屈折力(光を屈折させる力)を変えて視力を矯正する方法だ。

 研究開発は1970年代から行われていたが、1997年に欧州でCEマークを取得後、日本では2010年に厚生労働省認可された。

 この治療のメリットは、コンタクトレンズと違い、眼内にレンズを入れるために異物感がなく、出し入れの必要がない点にある。さらに、角膜を削る「レーシック手術」は、数年すると視力が以前の状態に戻ってしまう可能性が指摘されているが、「ICL」は近視の戻りが少ないと報告されている。

 また「レーシック手術」と違い、「ICL」は、眼内のレンズで視力矯正するため、万が一合わなくても眼内レンズを取り出せば元の状態に戻せるし、角膜を削らないため、光のちらつきやドライアイに悩まされることも少ない。白内障などになった場合も、レンズを取り出せば、治療に影響が出ないのも安心だ。

 非常に便利な矯正法に思えるが、すべての人に適しているわけではない。未成年や白内障発症のリスクがある45歳以上にはNG。また、眼の虹彩(眼球の色が付いている部分。光の量を調整する)と虹彩の後ろにある水晶体の間の狭い部分にレンズを入れるため、この距離が浅い人には使うのが難しい。

 さらに、自由診療のため、片眼でも約30万~40万円と、高額であることもやっかいな点だろう。

 この矯正手術は20~30分で終わり、日帰りも可能。ただし受診の際は、丁寧な検査、手術実績が多数ある医師や施設を慎重に選んでほしい。

田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。

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