手指の関節が痛い─。もしかしたら「手根管症候群」の可能性がある。これは、親指から中指にかけて、しびれや痛みを発症する病気。手首の正中神経が手根管内で圧迫されることで起きる。主な原因は手の使いすぎ。進行すると、神経の圧迫により、力が入りづらくなり、握力の低下、細かい動作がしづらくなるなど、日常生活に支障を来すため、早めに整形外科の受診が必要だ。
これ以外にも、手指の痛みは様々な病気がある。まず「腱鞘炎」だ。
これは、手首や指の腱と、その腱を包む腱鞘が、こすれ合って炎症を起こす病気。指を曲げたり伸ばしたりする時に、スムーズに動かせない場合もある。炎症によって腱と腱鞘の間の動きが悪くなるわけだが、さらに悪化すると、指がばねのように勢いよく動く「ばね指」を発症する危険もある。腱が腱鞘の中をスムーズに通れなくなり、指の動きが制限されてしまうのだ。
「肘部管症候群」も手指の痛みを伴う。肘の内側で尺骨神経が慢性的に圧迫されることで発症し、小指などにしびれを感じ、進行すると指の変形が起きることもある。
「関節リウマチ」も、手指の痛みを発症する。これは、免疫の異常により、手足の関節が腫れたり痛んだりする病気。進行すると、骨や軟骨が壊れて関節が動かせない危険性もある。
また、骨折でも外傷によって指を曲げるのに必要な屈筋腱が損傷してしまうケースもある。この場合は、腱をつなぐ手術が必要となるため医療機関の受診が必要だ。
手指の痛みには、脳梗塞などの重大病が潜んでいる危険もある。重篤な事態になる前に、違和感をおぼえた時は、痛み止めや湿布などで安易に対処せず、病院に行くことを心がけたい。
田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。