テリー 今日は久しぶりに尾藤さんにお会いできるっていうんで、あれは80歳の時のステージかな。ネットの動画で見させてもらったんですよ。すごいですね、声の出方が昔と全然変わらない。
尾藤 ああ、そうですね。
テリー あれはやっぱりずっと歌い続けてきたからですか?
尾藤 そうですね。仕事がないと精神的にも参ってくるし、声も出なくなっていくんじゃないですかね。僕はおかげさまでこの年になっても仕事を続けられているので、声もバンバン出てる(笑)。
テリー 今も「夢グループ20周年記念コンサート」で日本中を回ってますよね。
尾藤 1月後半からずっと回ってますね。今のところ6月のスケジュールまで発表されてるのかな。
テリー あれはだいたい月にどのぐらいやってるんですか?
尾藤 月によってバラバラですね。4月は多くて、全部で17公演ありました。北海道だけでも6会場ありましたから1週間ぐらい北海道にいましてね。その前は仙台にいましたから、けっこうあちこちに。
テリー もう旅芸人ですよね。
尾藤 まったくそうですね。それで8月にはアニソンのフェス(アニソン魂2025〝夏の陣〟~THE LEGENDS~)もあるんですよ。
テリー ああ、そうか!「あしたのジョー」を歌うんだ。あれも尾藤さんにとっては宝物のような曲ですよね。
尾藤 そうですね。あれは確かビートルズの来日の4年後ぐらい、1970年に発表した曲ですよね。だからそんなに経ってないんですよね。
テリー だから尾藤さんのファンって、僕らみたいなロックンロールとかオールディーズの曲のファンと、アニソンのファンと、大きく2つに分かれてるんですね。
尾藤 自分で言うのも何ですけど、アニソンでこんなに人気があるとは思わなかったですね。「尾藤イサオさんで『あしたのジョー』」って紹介されると「うぉー!」って歓声が上がって。アニソンファンは男の人が多いんですよ。
テリー それはやっぱり尾藤さんが格好よく年を重ねてるからじゃないですか。
尾藤 いやいや。
テリー 僕もお世辞抜きで、尾藤さんは芸能界で尊敬してる人の一人なんですよ。尾藤さんみたいに格好よく年を取っていくのが目標なんです。
尾藤 そうですか。何だか照れちゃいますね(笑)。
テリー また、これまで何度かお会いさせていただいて、いつも思ってるんですけど、尾藤さんっていつも穏やかじゃないですか。怒ったり、「バカヤロー!」って怒鳴ったりすることってあるんですか?
尾藤 いやぁ、ないですね。
テリー そうか、すごいなぁ。僕なんか、まだ人間が全然できてないから、イライラして、「お前、何やってるんだ!」ってスタッフなんかに怒っちゃう時もあるんですけど。
尾藤 それはやっぱり曲芸の下積みがずいぶん影響してるかもしれないですね。師匠の教えもよかったんだと思うんですけど「とにかく挨拶ができなきゃダメだぞ」「人様には、こういうふうにしなきゃいかんのだよ」という、曲芸以前のことを口酸っぱく教えていただきましたから。
テリー だからロックンロールって言うと不良のイメージがありますけど、そのへんが尾藤さんは違いますよね。あと、記憶力がいい。年号とか回数とか、ちゃんと数字が出てくるのがすごいですよ。
尾藤 いやいや、よく言う「昔のことばっかり覚えてる」っていうやつで。やっぱり最近のことになると全然ダメですね(笑)。
テリーからひと言
尾藤さん、曲芸をやってたのは知ってたけど、「ロカビリー曲芸」は知らなかったなぁ! すごくおもしろそう。またぜひステージでやってほしいね。
ゲスト:尾藤イサオ(びとう・いさお)1943年、東京都生まれ。曲芸師として活躍する傍ら、中学時代にエルヴィス・プレスリーに出会い、ロカビリー歌手を目指す。1960年、プロダクションに所属し、都内のジャズ喫茶などに出演。それがテレビプロデューサーの目に留まり、「パント・ポップショー」(TBSテレビ)や「森永スパーク・ショー」(フジテレビ)にレギュラー出演する。1964年、カバー曲「悲しき願い」が大ヒット。1966年、ビートルズ日本公演の前座を内田裕也やブルージーンズらと務めた。1970年、テレビアニメ「あしたのジョー」の主題歌を歌い、代表作のひとつに。また俳優としても多くの映画やドラマに出演。現在「夢グループ20周年記念コンサート」で全国ツアー中。8月10日(日)にはZepp DiverCity TOKYOで開催される「スーパーアニソン魂2025“夏の陣”~THE LEGENDS~」に出演。