社会
Posted on 2022年06月13日 05:55

医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<CKD(慢性腎臓病)>患者数は約1330万人新たな国民病!

2022年06月13日 05:55

 近年、「CKD(慢性腎臓病)」という疾患が注目されている。患者数は約1330万人(20歳以上の成人の8人に1人)いると考えられていて「新たな国民病」とも言われているのだ。増加の原因は、生活習慣の欧米化や高齢化が進んでいるためだと考えられる。

「CKD」は、腎臓の働き(GFR)が健康な人の60%以下に低下する(GFRが60ml/分/1.73平方メートル未満)か、タンパク尿が出るといった、腎臓の異常が続く状態を指す。

 腎臓機能は、年齢を重ねると低下していくため、高齢者になるほど「CKD」のリスクが高くなる。他にも、高血圧、糖尿病、脂質代謝異常、肥満やメタボリックシンドロームなど、家族に腎臓病のリスク因子を抱える人は要注意だ。

「CKD」の厄介な点は初期に自覚症状がほとんどないこと。進行すると、夜間尿、むくみ、貧血、倦怠感、息切れなどの自覚症状が現れるが、その時にはかなり進行している可能性が高い。腎臓はある段階まで悪化してしまうと自然に治癒することは難しい。そのためにも定期的に健康診断を受けて早期発見で治療することが望ましい。

 オーストラリアのボンド大学の研究によると、健康的な食事の摂取で「CKD」の進行を抑えられることが明らかになっている。具体的な食事スタイルは、塩分や脂肪の多い肉、糖質の多い菓子類、清涼飲料水、アルコールを控えること。野菜や豆類、ナッツ、全粒穀物、魚、低脂肪の乳製品、果物の積極的に摂取することだ。

 これで「CKD」の発生リスクを30%減少でき、初期の腎障害の指標となるアルブミン尿のリスクを23%減少させられるという調査結果が出ている。

 定期的検診と健康的な食事を心掛けて「CKD」を予防しよう。

田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。

全文を読む
カテゴリー:
タグ:
関連記事
SPECIAL
  • アサ芸チョイス

  • アサ芸チョイス
    社会
    2025年03月23日 05:55

    胃の調子が悪い─。食べすぎや飲みすぎ、ストレス、ウイルス感染など様々な原因が考えられるが、季節も大きく関係している。春は、朝から昼、昼から夜と1日の中の寒暖差が大きく変動するため胃腸の働きをコントロールしている自律神経のバランスが乱れやすく...

    記事全文を読む→
    社会
    2025年05月18日 05:55

    気候の変化が激しいこの時期は、「めまい」を発症しやすくなる。寒暖差だけでなく新年度で環境が変わったことにより、ストレスが増して、自律神経のバランスが乱れ、血管が収縮し、脳の血流が悪くなり、めまいを生じてしまうのだ。めまいは「目の前の景色がぐ...

    記事全文を読む→
    社会
    2025年05月25日 05:55

    急激な気温上昇で体がだるい、何となく気持ちが落ち込む─。もしかしたら「夏ウツ」かもしれない。ウツは季節を問わず1年を通して発症する。冬や春に発症する場合、過眠や過食を伴うことが多いが、夏ウツは不眠や食欲減退が現れることが特徴だ。加えて、不安...

    記事全文を読む→
    注目キーワード
    最新号 / アサヒ芸能関連リンク
    アサヒ芸能カバー画像
    週刊アサヒ芸能
    2025/7/22発売
    ■620円(税込)
    アーカイブ
    アサ芸プラス twitterへリンク