芸能
Posted on 2014年05月07日 09:58

蘇る!山口百恵「赤いシリーズ」の“衝撃”(2)中野良子が感じた新しい形のアイドル

2014年05月07日 09:58

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 新進の女優として注目されていた中野良子は、宇津井健演じる犯罪心理学者の助手として「赤い迷路」に出演した。役名は園田京子である。

 以降のシリーズと違い、これまで本作だけソフト化されておらず、今回のDVDマガジンで“再会”を果たしたのだという。

「当時もビデオデッキが普及していない頃だったから、自分のドラマを観るということはほとんどなかったの。今こうして観ると、犯罪心理学とか時代を先取りしていたなって感心します」

 第1話において、犯罪者をカウンセリングする場面が出てくる。記憶喪失を装った凶暴な男こそ、3月30日に他界した蟹江敬三であった。

 蟹江は無抵抗の宇津井を、何度も何度も殴りつける。若き日の蟹江の凶暴な目つきと、毅然としてパンチを受け続ける宇津井の姿は、ゴールデンタイムのドラマとしては異様な迫力を生む。蟹江は第1話だけのゲスト出演だったが、中野はこのシーンを鮮烈に記憶する。

「工夫に工夫を重ねて演技をなさる方だなと思いました。そんな実験が大好きな役者さんが当時はたくさんいらしたんです」

 その筆頭が松田優作であろう。実は「赤い迷路」には、後に百恵とゴールデンコンビと呼ばれる三浦友和は出演していない。そのため、ラブストーリーの部分は「不治の病」というスパイスも加えて中野と優作が担当している。

 優作は「太陽にほえろ!」のジーパン刑事役で時代のヒーローとなり、あの有名な殉職シーンを終えて、直後に出演したのが「赤い迷路」であった。

「優作さんは自分なりの演技プランを持っていらっしゃるから、スタッフに必死の交渉をしているんです。私たちもその間、ずいぶん待ったりしました。私は役者だから気持ちはわかるけど、スタッフの人は予算や時間調整があるからハラハラのしっぱなしでしたね」

 ジェームス三木によれば、優作がプロデューサーに殴りかかる場面も何度か目にしている。主婦層向けのドラマと思われがちな「赤いシリーズ」だが、その実、ハードな持ち味を内包していたのだ。

 そして中野は、主演の宇津井とは初共演だったが、安心して芝居に臨めたという。

「乗馬をなさってらっしゃる背筋のピンとした感じが、演技にも伝わってきます。宇津井さんは役柄の心理を体全体で明確にされるので、こちらとしても受け止めて演技ができました。当時は何台もカメラを回す撮り方ではなく、落ち着いて演技に臨めました」

 上司である宇津井の娘役が百恵である。アイドルとしてめまぐるしいスケジュールをこなしながら、決して浮ついていない印象を中野は持った。その静けさと落ち着きは、従来にないタイプのアイドルになるのではと予感もした。

 さらに中野の予感がもう1つ。同時期に百恵の初主演映画「伊豆の踊子」を友和と撮っていたせいか、ロケ先にやって来たことがある。

「帰りのロケバスで、私と百恵さんと友和さんが一緒だったの。ふと見ると、友和さんが百恵さんを見守っている感じがしました」

 79年の恋人宣言より5年も早く、2人の運命は察知されていたようである。

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