スポーツ
Posted on 2023年06月17日 05:56

世界の福本豊<プロ野球“足攻爆談!”>「ヤクルトの巻き返しに足りないもの」

2023年06月17日 05:56

 ヤクルトが交流戦でようやく巻き返しムードになった。リーグ連覇の翌年に12連敗(5月16日~31日)もするなんて普通はないこと。連敗地獄の理由は一つや二つやない。運にも見放された感じやった。

 5月24日の阪神戦(神宮)では1点リードの9回2死でノイジーの右飛を並木が後逸。照明が目に入って打球を見失い、記録は三塁打やった。この不運にガックリきた田口が踏ん張り切れずに逆転を許した。連敗が6に伸びると、さらにズルズルと黒星を重ねた。高津監督は「顔に当ててでもという気持ちはなかったと思う」と試合後にコメントしたが、あれは僕でも同じ結果になったかもしれない。ライトが目に入ると、一瞬、視界が真っ白になってしまう。気合いだけでは何ともならん。センターより、レフトやライトの方が角度的に目に入りやすい。特に定位置より前のライナー。並木は気の毒としか言いようがない。ただただ、チーム状況、場面が悪すぎた。

 連敗が伸びるチームに総じて言えることは、頼りになるエースがいないということ。例えば、阪急が3年連続日本一(75~77年)になった時は、山田久志という大エースがいた。山田が投げる日はチーム全体が「今日は負けられない」というムードになるし、試合前から勝てそうな気になった。残念ながらヤクルトにはそういう投手がいない。もともと昨年も2ケタを勝った投手が一人もいなかった。弱い先発陣をブルペンの踏ん張りでカバーしていた。昨季までの抑えのマクガフが抜け、去年より調子を落としているリリーフ投手が多い。大型連敗の危険性ははらんでいた。

 ほんまは、WBC日本代表にも選ばれた高橋と奥川が左右のエースとして引っ張らないとアカン。高橋は開幕から調子が上がらず、彼が5月序盤に2軍に落ちてからチームの連敗が始まった。昨季は自己最多の8勝を挙げて、今年は2ケタ白星がノルマ。WBCでのボールの違いや、調整の難しさは言い訳にならない。

 詳しい事情はわからんけど、奥川は右肘を痛めて手術しないまま、昨年4月以降は1軍で投げていない。高卒2年目の一昨年に9勝を挙げ、ヤクルトのエースになると見ていた。外部の人間がとやかく言うことではないけど、手術した方がよかったのではないかと思ってしまう。阪神の才木の姿を見ているとなおさらそう思う。才木は2020年にトミー・ジョン手術を受けて、昨年の夏に1軍に復帰。今年は6月4日のロッテ戦(甲子園)で佐々木朗希に投げ勝って完封するなど、目覚ましい活躍を見せている。昔と違って、今は体にメスを入れた投手の成功例が多い。奥川はヤクルトだけでなく、日本球界を引っ張っていけるような投手やから、完全復活が待ち遠しい。

 あとはやっぱり村神様が頑張らんと。2割前半の打率はあまりに低すぎる。去年は本塁打だけでなく、打率も残せたから三冠王になった。今年はホームランこそそれなりに出ているけど、ヤマが外れたかのような見逃し三振が目立つ。せめて2割8分台はないと相手バッテリーに数字で威圧感を与えられない。「打率も低いし、怖がることない」と思われると、投手も楽に腕を振れて、投げ損じが少なくなる。首位の阪神を脅かすような逆襲には、村上の打率急上昇が不可欠になるはずなんやけど‥‥。

福本豊(ふくもと・ゆたか):1968年に阪急に入団し、通算2543安打、1065盗塁。引退後はオリックスと阪神で打撃コーチ、2軍監督などを歴任。2002年、野球殿堂入り。現在はサンテレビ、ABCラジオ、スポーツ報知で解説。

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