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記事全文を読む→【天皇賞・春の激闘譜】なぜ「同着」ではないのか…クロワデュノールとヴェルテンベルクの命運を分けた「判定写真2センチ」のナゾ
5月3日に行われた春の天皇賞(GI、京都・芝3200メートル)は、史上稀に見る際どい「写真判定」に持ち込まれた。
4コーナー手前から堂々のマクリ勝負に打って出た1番人気(単勝1.8倍)のクロワデュノールは、最後の直線に入ると先団馬群を一気に飲み込む形で、ゴール板に向かって一直線。この横綱相撲に乗じて脚を伸ばしたのが、12番人気(単勝208.4倍)のヴェルテンベルクだった。4コーナーで最後方から大外に回すと、メンバー最速となる上がり34秒3の鬼脚を炸裂させて、インで粘りこむクロワデュノールに襲いかかった。
ターフビジョンに映し出されたゴール板前のスロー映像では、ヴェルテンベルクの脚がわずかに差し届いているように見えた。ところが、10分間という長い写真判定の末に出された結論は、クロワデュノールのハナ差勝ち。その後、判定写真とともに公表された着差は、「ハナ毛の差」とでも言うべき「わずか2センチ」だった。
この判定結果をめぐっては、少なからぬ競馬ファンから「同着ではないのか」との声が上がったが、このような疑問の声の背景には「スロー映像」と「判定写真」の本質的な違いが横たわっている。ザックリ説明すると、以下のようになる。
まずゴール板前のスロー映像は、最先着馬がゴールした瞬間を空間的に映し出した映像である。これに対して判定写真は、決勝線に設置されたライセンサーカメラがゴール板を通過した馬の姿を1万分の1~2秒単位で次々とスキャン撮影し、その「時間差」を「着差」に換算する形で繋ぎ合わせて作成された静止画なのである。
判定写真において「ゴール板は存在しない」という事実
したがって、スロー映像におけるゴールがゴール板であるのに対して、判定写真においてはスロー映像に映し出されるようなゴール板は存在しない。つまり、「判定写真上のゴールは、いったいどこになるのか」という問いに対しては「判定写真に映り込んだ各馬の見せかけの位置が、それぞれのゴールになる」という答えになるのだ。
そしてJRAの決勝審判委員は判定写真を引き伸ばして、正確な到達順位と着差を確定させる。
翻って今回の判定写真を見ると、クロワデュノールの鼻先が判定写真上に引かれたタテ線に接しているのに対して、ヴェルテンベルクの鼻先は同じタテ線にわずかに達していない。その時間差が2センチという着差になったのだ。
ちなみに、判定写真を引き伸ばしても鼻先が完全に並んで見える場合は「同着」と判定される。ただし、どれくらいの時間差から同着になるのかは必ずしも明確ではない。最後の最後は、決勝審判委員の「目」が命運を決することになるのだ。
(日高次郎/競馬アナリスト)
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