社会

SL列車が観光の目玉確実でも実現が難しい「3つの問題」

 地方活性化のために鉄道が利用されることは少なくない。特別な観光列車を走らせ観光客を呼ぼうというのである。問題はどのような列車を走らせるかだが、蒸気機関車を使ったSL列車を走らせたいという声はよくある。当然、SL列車は人気があるためだが、実現することはまずない。

 鉄道ライターはその理由をこう語る。

「まず車両を用意することができません。蒸気機関車を所有している鉄道会社は限られ、他に貸し出す余裕がない。実は客車も足りていないんです。仮に貸し出しOKとなっても、運行する路線まで持っていくことが難しい。トラックに乗せて運搬することはできず、路線を走らせて行く必要がありますが、まず許可がおりません」

 仮に車両の問題をクリアしても、運行となると課題が山積みだ。

「人里離れた山奥で走らせるのであれば蒸気機関車の煤煙は問題になりませんが、民家がある場所だと地域住民の理解を得る必要があります。東武鉄道は下今市駅から東武日光駅、下今市駅から鬼怒川温泉までSL大樹を運行していますが、スタートさせるにあたって、沿線の家を一軒一軒訪れて理解と協力を得たそうです。そこまでしなければ新たにSL列車を運行できないんですよ」(前出・鉄道ライター)

 さらに一般的には知られていないこんな問題もある。

「蒸気機関車は『向き』があり、往復する場合は終点で方向転換をする必要があります。向きを変えるには『転車台』を使いますが、これを備えている駅が非常に少ない。転車台がない場合は片道だけの運行になるか、復路はディーゼル機関車で牽引することになります。片道だけしかできないのであれば営業的にも運行を諦めようということになる」(前出・鉄道ライター)

 風光明媚なあの路線でSL列車を…という声が上がるが、実現しないのはこのような問題が山積みだからなのである。

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