社会

苫米地英人の『騙す脳』(3)

「『騙す脳』の巧妙さは『銀行』の手口を考えれば明らかだ」

 これまで「騙し」が生物の持つ能力であること。人類の歴史は「騙し」の歴史であることに触れた。

 今回は、もっと身近な「騙す脳」の狡猾さに触れたい。皆さんは日常生活で「銀行」を使うだろう。給与の振込、生活費の支出、果ては住宅ローン、保険。お金は必ず「銀行」を経由していると言っても良いだろう。認知科学者の苫米地英人氏が指摘する。

「銀行の主業務は、利息をつけて預かったお金を、預かった時よりも高い利息をつけて貸すことである。つまり銀行は、預かり利息と貸付利息の差額で儲けています」

 銀行は元本の10倍の金額を貸してよいことになっている。実際には8割なのだが‥‥ここに「騙し」がある。

 100万円を銀行に預けると、0.02%の利息であれば、預金者の儲けはわずか200円。ところが、貸付利息は3%から。カードローンになれば14%である。

 銀行は黙っていても大儲けできるのだ。なぜ銀行は、100万円の預金に対して10倍ものお金を貸すのか──。

「銀行には『信用創造』が許されています。『信用創造』は銀行の貸し出し行為によって、世の中に出回る貨幣の供給量が増加することです。ありもしないお金があるかのように信用されてしまう現象なのです」(苫米地氏)

 著書『「騙す脳」を作る』の中で苫米地氏はこう指摘しながら、疑問を呈する。

「なぜ、誰もがそのことに疑いを持たないのか」

 と。

 次回は、銀行の「騙し」から金融の「騙し」により深く斬り込みたい。

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