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前回、前々回と、10月27日に行われた「ビートたけし“ほぼ単独”ライブ」での、ライブ前、さらにはライブ中の殿について、たっぷりと書かせていただきました。そして今週は、わたくし的には、ある意味で一番印象に残った、ライブ後の殿についてじっくりと書かせてください。
約1時間40分に及ぶ、爆笑を巻き起こした舞台を降りられた殿は、楽屋に戻られるとすぐ、
「ちゃんとウケてた?」
「大丈夫だった?」
「少しは笑えた?」
等々、ライブの出来についての不安を何度も口にしていました。なぜに大いにウケたライブで、殿はことのほか不安になったのか?
説明します。まず、
「久々に客前で大きい声を出したら途中で左耳がトンじゃってよ。客の笑い声がよく聞こえなくて焦った焦った」
と、殿が告白されているとおり、ライブの途中から客の反応がよく耳に入ってこなかったそうです。次に、殿は漫才出身です。ツービートの漫才は、ボケ担当だった殿が1人で速射砲のごとく喋り倒し、テンポよくボケとギャグを繰り出すスタイルでした。以前殿は、
「オイラが漫才やってた頃は、客にオチがバレないようにじゃんじゃんスピードアップして、“逃げ切った”ってとこあったからな」
と、振り返っていたことがありました。とにかく“速い漫才”であり、そのぶんボケやギャグを繰り出す回数も多く、時間にして、10秒に1度ぐらいのペースで笑いを取っていたのです。昔漫才をやっていた感覚と比べて、笑いが巻き起こる回数が物足りなく感じられたのかもしれません。
が、この日のライブは漫才ではなく、落ち着いて座って喋る「スライドショー」という名のトークライブです。10秒に1度笑いが起こることなどありえません。
後日、わたくしは改めてビデオで確認したのですが、“たけしお手製イタズラ書きパネル”も、“それを受けての殿のコメント”も、しつこいようですがどちらもしっかりとウケており、誰がどう見ても爆笑の絶えないライブになっていました。とにかく、突発的な耳の不調と、漫才師時代の感覚が、ライブ後殿を不安にさせた理由であると、わたくしは思うのです。
話をライブ後に戻します。楽屋に戻った殿は、先ほど紹介した“不安である発言”を繰り返すと、一息ついた後、
「だけどあれだな。次は同じパターンじゃダメだな。今回やったのをうまく使ってよ、違うことしねーとな」
と、舞台から降りてきて15分後には、すでに「第2回 たけし“ほぼ単独”ライブ」についての心配をされていました。殿は、不安においても、せっかちなんです。
そして、打ち上げ会場である焼き肉屋に移動すると、先ほどまでの不安も、少しは落ち着いたようで、
「まーだけどあれか。とりあえずは大成功か」
と、自分に言い聞かせるように切り出すと、続けて、
「でもやっぱり、お笑いの舞台ってのは緊張するな」
「ダメなんだよな。漫才師だからな。あがっちゃうんだよな」
と、“久しぶりに体験したライブで、オイラが感じた本音”を、包み隠さず周りに語っていました。
こういった発言を、この日初めて飲む方もたくさんいる打ち上げの場で、オープンに口に出す殿のお姿に、わたくし、弟子の分際で生意気ではありますが、〈なんてチャーミングな人なんだ。そりゃー人を惹きつけるわ!〉と、改めて感心してしまったのです。
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