芸能

実弟・モト冬樹が「アニキは周回するマグロと一緒。止まったら終わり」/芸能界の奇才・エド山口の「おひとりさま」破天荒人生(6)

 子供の頃から最も身近にエド山口を知る実弟・モト冬樹も、エドが「おひとりさま」として生きていくのが合っている、と認めている。

「オレなんか小学校で野球もやったことないのに、みんなで野球チームを作ろうとした。同じユニフォームを着たかったの。みんなでひとつの目標に向かっていくのが好きだった。アニキは違う。周りに合わせるのが得意じゃなかった」

 それでやっていた部活は、ひとりで相手に立ち向かえる卓球だった。

 まだモトが高校を出たてだった頃に、一度はバンマスがエド、そのメンバーがモトでバンドを組んだが、その時にも、モトはエドが「群れる」のに向かない人間であったのを見てきている。

「妙に気を使いすぎるんだよ。リーダーだったら、もっと強引に『オレの言う通りにしろ』って押し通せばいいところを、メンバーの意見を聞きすぎたりして、かえってうまくいかなくなったり。優しすぎんのかな」(モト)

 テレビタレントとして活躍するようになっても、それは変わらないと、とモトは指摘する。

 例えばエドは、MCに「どうぞご自由にしゃべって下さい」と振られて喋ると、どんどんピッチが上がって盛り上がる。ところが、誰かが喋っているところに切り込んでいくとか、掛け合いで丁々発止というのは、どうも苦手だ。集団トークになるとつい引き気味になって、本領を発揮できないという。

「だからこそ『お笑いスター誕生!!』で、ピン芸人として脚光を浴びた時は、アニキにはピッタリ合ってると思ったよ。ラジオでDJやるのも合ってたし、今のYouTubeも『水を得た魚』なんじゃないかな」(モト)

 ちなみに、もうひとつ。モトがエドとの関係について語った中で、なぜか印象的だった話を。まだ30年近く前、兄弟2人でバンドを組んで「東京ドンバーズ」と名乗り、サザンオールスターズの松田弘がプロデュースしてCDを出した。ところが、どうも火がつかない。なぜなのかと思って、気付いたことがあるという。

 血を分けた兄弟なので声の質も似ているし、すぐに自然にハモれる。でも、同質の声でハモるより、違う感情、違う声質の人間がぶつかり合った方が、ハマッた時の迫力は倍化するらしいのだ。実際にモトは、違う声質のグッチ裕三とのコーラスで、それを体験している。ビジーフォーが成功した秘訣も、どうもそのあたりにあるかもしれない、という。

「日本のコーラスって、だいたい相手に合わせて、声を同じにしようとするだろ。その点、アメリカあたりは思い切り自分の声をぶつけ合う。だから迫力が違うんじゃないかな」(モト)

 やはり東京ドンバーズの活動は、あっさり終わった。

 エドはこれからどうしていけばいいか。モトはこう答えた。

「アニキは周回するマグロと一緒で、ひとりで喋り回り、動き回ってなきゃいけない人間。止まったら終わり。だからひとりで周りに左右されずに、勝手にやってもらってればいい」

 そのへんは、エド本人も自覚している。

「オレたちがやってるのは、いつもフリートーク。その場限りで消えていく。でも消えていくものだからこそ、好き勝手にやれる」

 テレビの釣り番組を30年以上もやり、エレキバンドのバンマスをやり、ドラマに呼ばれれば殺される被害者も犯人役もやり、曲も作り、自ら選曲した曲を流しつつラジオDJもやり、YouTubeで昔のGSや歌謡曲の思い出話を語り続ける「二線級芸能人」。

 まぁ、こんなことをやり続けている75歳は、立派な「おひとりさま」だとは思う。

カテゴリー: 芸能   タグ: ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<マイクロスリ―プ>意識はあっても脳は強制終了の状態!?

    338173

    昼間に居眠りをしてしまう─。もしかしたら「マイクロスリープ」かもしれない。これは日中、覚醒している時に数秒間眠ってしまう現象だ。瞬間的な睡眠のため、自身に眠ったという感覚はないが、その瞬間の脳波は覚醒時とは異なり、睡眠に入っている状態である…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<紫外線対策>目の角膜にダメージ 白内障の危険も!?

    337752

    日差しにも初夏の気配を感じるこれからの季節は「紫外線」に注意が必要だ。紫外線は4月から強まり、7月にピークを迎える。野外イベントなど外出する機会も増える時期でもあるので、万全の対策を心がけたい。中年以上の男性は「日焼けした肌こそ男らしさの象…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<四十肩・五十肩>吊り革をつかむ時に肩が上がらない‥‥

    337241

    最近、肩が上がらない─。もしかしたら「四十肩・五十肩」かもしれない。これは肩の関節痛である肩関節周囲炎で、肩を高く上げたり水平に保つことが困難になる。40代で発症すれば「四十肩」、50代で発症すれば「五十肩」と年齢によって呼び名が変わるだけ…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , |

注目キーワード

人気記事

1
【戦慄秘話】「山一抗争」をめぐる記事で梅宮辰夫が激怒説教「こんなの、殺されちゃうよ!」
2
神宮球場「価格変動制チケット」が試合中に500円で叩き売り!1万2000円で事前購入した人の心中は…
3
巨人で埋もれる「3軍落ち」浅野翔吾と阿部監督と合わない秋広優人の先行き
4
永野芽郁の二股不倫スキャンダルが「キャスター」に及ぼす「大幅書き換え」の緊急対策
5
「島田紳助の登場」が確定的に!7月開始「ダウンタウンチャンネル」の中身