社会

「メルカリ」のEC事業サービスに不満が続出する「わざわざここで買う必要がない」理由

 今や買い物はネットショップだけでなく、フリマアプリを利用するのが当たり前。そのフリマアプリの中でも特にユーザー数が多い「メルカリ」がEC化支援事業に参入し、 「メルカリShops」のサービスを開始したのは2021年だった。

 それまでのメルカリでは個人の出品しかできなかったが、メルカリShopsでは個人事業主と個人を問わず自分の店を開設し、メルカリ内で商品を販売できる。

 メルカリShopsは個人出品と違い、在庫管理やまとめて出品が可能である。しかし、サービスを開始して3年目となった今、利用者からは苦言が相次いでいるという。ネットショッピングに詳しいライターに話を聞くと、

「メルカリShopsは通常のメルカリとは異なるため、個人出品者のように融通が利かない、と購入者からは不満が出ています。例えば、同じ出品者から商品を複数購入するので値下げ交渉したいが、それができない、というもの。配送方法は個人の場合、匿名配送ができるメルカリ便を利用する人が多いのですが、メルカリShopsは『未定(出品者が手配)』であることがほとんどです。そのため、普通郵便で送られると、到着までに1週間かかる、なんてこともありますね」

 メルカリShopsのサービスが開始された2021年10月、日本郵便は週末配達の休止のほか、普通郵便物、ゆうメールの届け日数を1日程度繰り下げると発表した。これが原因で、商品の到着が遅れているのだ。

「出品者は発送までの日数を選択できますが、メルカリでは1日から2日での発送が売れやすいとされています。柔軟性がなく、かつ商品が届くのが遅いとなると、『わざわざメルカリShopsで買う必要はないのでは』といった声が増えています」(前出・ネットショッピングに詳しいライター)

 不満は購入者からのものだけにあらず。2023年12月18日、総務省はハガキや定形郵便の値上げを行う方針を発表したのだ。化粧品を取り扱うメルカリShopsを運営する女性が語る。

「メルカリは購入者が商品を探す際に配送料の負担を検索することができるのですが、購入者が送料を負担する場合は、なかなか売れない傾向があります。そのため、送料を商品価格に含めて販売しますが、今回の値上げはかなり痛手だと感じています。メルカリは『通常よりも安く購入できる』というイメージが付いてしまっているので、商品の値上げは難しい状況です」

 個人同士で気軽に商品を出品し、お得に購入できるのが、メルカリの魅力だった。メルカリShopsは利点という意味で、その先行きが明るいとは思えないのだが…。

(京野歩夢)

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