エンタメ

因縁の「王将戦」でひふみんと羽生善治の仇を取った藤井聡太の清々しい偉業

 藤井聡太八冠が東京都立川市で行われた「第73期ALSOK杯王将戦七番勝負」第4局を制し、4連勝で王将戦3連覇を果たした。これで藤井王将はプロ棋士になってから出場したタイトル戦の無敗神話を更新。大山康晴十五世名人が1963年から1966年に残した「タイトル戦19連覇」の記録を塗り替える、タイトル戦20連覇の新記録を樹立している。

 終局後の会見で藤井八冠は大山十五世名人について、次のように語った。

「世代的には離れていて、伝説上の方というイメージがある。奨励会時代は大山先生の棋譜を並べていたことがあった。主に相居飛車の将棋だったが、当時から先進的な将棋を指されていた。棋譜を並べたことは勉強になった」

 ちなみに相居飛車は今回の挑戦者だった菅井竜也八段得意の戦法で、奨励会時代の切磋琢磨がタイトル20連覇の礎になっていることが伺える。

 藤井八冠が記録を破った大山十五世名人の、いい人物評は聞かない。今でいうパワハラで若手棋士を潰してきた御仁だ。

 特に虐められたのが、藤井八冠に記録を破られるまで、最年少の14歳7カ月で棋士になった天才少年「ひふみん」こと加藤一二三氏。加藤氏本人は「かわいがってもらった」と言うにとどめているが、すでに勝敗がついている対局で大山十五世は少年相手に盤上で執拗にいたぶり、以降、加藤氏は大山十五世だけには勝てなくなってしまった。

 日本将棋連盟会長の羽生善治永世七冠も高校生棋士の頃、「王将戦」をめぐって大山十五世名人からパワハラを受けている。1988年の王将戦予選で両者は対局することになったのだが、大山十五世名人が「対局を2日制とし、1日目を都内の将棋会館で指し、2日目は青森での公開対局にする」と言い出した。

 現在の王将戦を例に挙げると、一次・二次予選の持ち時間が3時間、挑戦者決定リーグが4時間、王将戦七番勝負のみ2日制の8時間なので、この大山十五世名人の申し出がいかに異様なのかがわかる。

 主催者の毎日新聞社は、この申し出に応じた。羽生会長は5月21日に都内の将棋会館、22日に青森で行われた対局を落とし、翌23日に帰京して5月24日に竜王戦4組の決勝トーナメントに出場するという過密スケジュールを余儀なくされた。

 十五世名人の言いなりで羽生会長を振り回した、毎日新聞社の当時の対応には疑問が残る。将棋タイトル戦を主催する新聞社各社が書けない黒歴史なのだが、今回、その因縁の「王将戦」で藤井聡太八冠は、大山十五世名人が棋譜を汚して打ち立てた19連勝の記録を塗り替えた、というのが実にスッキリして清々しい。

 令和の将棋が子供からマダムにまで愛されているのは、見ていて面白いという理由だけではない。昭和の陰湿な将棋と違い、年長の棋士たちが藤井聡太八冠や伊藤匠七段ら若獅子に真っ向真剣勝負を繰り広げているからだ。

(那須優子)

カテゴリー: エンタメ   タグ: , , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    「男の人からこの匂いがしたら、私、惚れちゃいます!」 弥生みづきが絶賛!ひと塗りで女性を翻弄させる魅惑の香水がヤバイ…!

    Sponsored

    4月からの新生活もスタートし、若い社員たちも入社する季節だが、「いい歳なのに長年彼女がいない」「人生で一回くらいはセカンドパートナーが欲しい」「妻に魅力を感じなくなり、娘からはそっぽを向かれている」といった事情から、キャバクラ通いやマッチン…

    カテゴリー: 特集|タグ: , , |

    塩試合を打ち砕いた!大谷の〝打った瞬間〟スーパー3ランにMLBオールスターが感謝

    日本時間の7月17日、MLBオールスター「ア・リーグ×ナ・リーグ」(グローブライフフィールド)は淡々と試合が進んでいた。NHK総合での生中継、その解説者で元MLBプレーヤーの長谷川滋利氏が「みんな早打ちですね」と、少しガッカリしているかのよ…

    カテゴリー: スポーツ|タグ: , , , |

    新井貴浩監督が絶賛!劇画のような広島カープ野球の応援歌は「走れリュウタロー」

    プロ野球12球団にはそれぞれ、ファンに親しまれるチームカラーがある。今季の広島カープのチームカラーを象徴するシーンが7月初旬、立て続けに2つあった。まずは7月4日の阪神戦だ。3-3で迎えた8回裏、カープの攻撃。この試合前までカープは3連敗で…

    カテゴリー: スポーツ|タグ: , , , |

注目キーワード

人気記事

1
岡田監督よく言った!合計43得点のオールスター戦が「史上最もつまらなかった」とファンが怒った当然の理由
2
巨人・阿部慎之助監督のエンドラン外し「捕手の勘だった」発言に江川卓が「それはない」異論のワケ
3
認知症の蛭子能収「太川陽介とバス旅」は忘れてもボートレース場で「選手解説」ギャンブラー魂
4
レジェンドOBなのになぜ!ド低迷の川崎フロンターレ「中村憲剛」新監督案をサポーターが拒絶
5
【衝撃事実】見たのは誰だ!トランプ銃撃犯は「11分間ドローンでライブ配信」していた