「ダーツってやったことある?」
前巨人打撃チーフコーチ・大久保博元氏のYouTubeチャンネル〈デーブ大久保チャンネル〉でそう聞いたのは、ロッテなどで活躍した愛甲猛氏である。
コントロール投手に共通するポイントを指摘する際の言葉なのだが、そのたとえに出したのがダーツだった。
円形の的に3本の矢を使って得点を競うもので、矢を放つ腕の肘をほぼ直角にたたみ、目の前に矢を構える。愛甲氏の詳しい解説はこうだ。
「あれって、目に近いとこから投げるから当たるんじゃないんだって。手が脳に近いから、うまく投げられるんだって。ナルホドなって思ってて、全員に当てはまるわけじゃないけど、コントロールのいいピッチャーって、例えば東尾(修)さんとか、やっぱり手が脳に近いところから出てる。だから、藤浪(晋太郎)がスゴイ離れてた時があったじゃない。野茂(英雄)もスゴイ球を投げるけど、コントロールはめちゃめちゃいいわけじゃないもんね」
打者の内角に鋭く攻め込むことから、現役時代は「ケンカ投法」と呼ばれた元西武の東尾修氏。プロ通算251勝で与死球165は、144の渡辺秀武氏(巨人、広島など)を抑え、ダントツのプロ野球記録だ。
一方でコントロールのよさには定評があり、伊集院光がラジオ番組で東尾氏のこんな言葉を明かしていた。
「(ベルトの)バックルに完全に向き合った形…斜めになると、バックルでも痛いけど、バックルに垂直に当たれば、バックルが押されるだけだから、力が分散して痛くない」
まさに「狙って正確にぶつけられるコントロール」の真骨頂(?)である。
コントロール重視の投手かどうか、今後は手の出どころを注視して野球を楽しみたい。
(所ひで/ユーチューブライター)