芸能

ナイツ 塙宣之「小泉今日子のナレーションはイチ早く決まっていた」/テリー伊藤対談(2)

テリー また驚いたのが、ナレーションを小泉今日子さんがやってるでしょう。

 あれはミックスゾーンの偉い方が小泉さんと親交があって。ナレーションが小泉さんっていうことだけはイチ早く決まってました。

テリー 面識は?

 いや、全然ないです。初対面で。

テリー 緊張するよね。

 緊張しますよ。子供の頃から見てる人ですから。でも、すごいいい人でした。ほんとにあったかくて。

テリー 「もうちょっとこんな感じで」とか、監督としてディレクションもしたの?

 いや、そういうのも全然なくて。舞台がすごく好きな方で、理解もあったので、ナレーションに心がこもってて、何も言うことなかったですね。

テリー まあ、そうだよな。キョンキョンだもんなぁ。あと、エンディングテーマも格好よかったね。

 あれはザ・ハイロウズの「笑ってあげる」っていう曲で、結構前の曲(編集部注:1999年リリース)なんですけど、僕、すごく好きで。「滝に打たれて修行してもあんまり意味がない」みたいな歌詞なんですけど、結構共感できるんです。

テリー なるほど。

 漫才協会の芸人って、例えば吉本興業の芸人が全員そうだっていうわけじゃないんですけど、ダウンタウンさんとかああいうすごい人たちがいて、劇場がいっぱいあって、NSCがあって、道がちゃんとできてるじゃないですか。東京芸人って、ある意味そういうのがないから、全部自分で会場探して、わけわかんないところで漫才やってっていう、そういうデコボコの道を上がった人たちの集まりだからこそ、何か強くなってきてる気がして。

テリー 組織がないからね。

 「M−1(グランプリ)」もこの前の優勝は(吉本の)令和ロマンでしたけど、その前はウエストランド、その前が錦鯉っていう、吉本じゃない東京芸人が優勝してるという。錦鯉なんかまさに苦労して。というのが、僕は一番東京芸人の強みだと思っているので。それが自分の中で曲とマッチした感じがして、個人的にはあの曲をエンディングに使えて、ほんとによかったと思います。

テリー 第2弾、第3弾と作っていけるよね。

 いや、僕はただ編集作業にちょっと立ち会ってというぐらいですから。

テリー でもさ、意外と音を入れたりしてできあがると、また全然違って見えるでしょう?

 わかります。何か編集作業が結構楽しかったですね。「このシーン、だいぶ削ったのにまだ長いな」とか。

テリー この映画がきっかけで東洋館のお客さんも増えるんじゃないかな。

 いやぁ、増えてほしいですけどね。毎日満員になれば、少しは黒字になるので。

テリー 今はどのぐらい入ってるの?

 僕ら(ナイツ)とかおぼん・こぼん師匠が出る時は満員になるんですけど、そうじゃない時はほんとに20人とか30人とかぐらいしかいない日もありますね。満員だと240人ぐらい入る劇場なんですけど。

テリー そういうのは映画の中では言ってないよね。「どうやったらお客さんが増えるか」っていう作戦会議の様子を見せたりしても面白かったけどね。

 ああ、理事会の様子を。普段の理事会はそういう話し合いをしてるんです。でも、そうですね。そういうところまで見せて漫才協会をわかってもらうのも大事かもしれないですね。

ゲスト:ナイツ 塙宣之(ナイツ はなわ・のぶゆき)1978年、千葉県生まれ。大学卒業後の2000年、落研の後輩・土屋伸之と「ナイツ」結成。2008年の「M-1グランプリ」(ABCテレビ)で3位に。以降、2010年まで3年連続で同番組の決勝に進出。2007年、史上最年少で「漫才協会」の理事に就任すると、副会長を経て、2023年、会長に就任した。現在は「ナイツ ザ・ラジオショー」(ニッポン放送、月~木)、「ナイツのちゃきちゃき大放送」(TBSラジオ、毎土)、「高田文夫のラジオビバリー昼ズ」(ニッポン放送)などにレギュラー出演中。また2018年より「M-1グランプリ」の審査員も務める。

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